研究課題/領域番号 |
61215008
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研究種目 |
特定研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
川喜田 正夫 東大, 教養部, 助教授 (00012740)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1986年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | カルシウム / 筋小胞体 / 能動輸送 / ATPアーゼ |
研究概要 |
骨格筋の刺激応答時における細胞内【Ca^(2+)】濃度の動態は、筋小胞体からの【Ca^(2+)】遊離と、能動輸送による筋小胞体内腔への再吸収の二つの反応過程の速度によって規定されている。本研究においては、【Ca^(2+)】イオンの回収過程における【Ca^(2+)】動態制御の解明を目的として、【Ca^(2+)】輸送ATPaseの構造と機能について解析し、以下の結果を得た。1.【Ca^(2+)】結合能を保持したトリプシン限定解断片複合体を構成する各断片を精製し、そのN末端及びC末端部分配列の分析により特異的トリプシン断点を同定し、【T_2】断点の連続性および【A_1】断片のN末端部分が反応中における構造変化を分子内で伝達し、また【Ca^(2+)】に対する親和性変換を達成する上で、重要な役割を果たす可能性が強いことを示した。 2.ATPaseをANM,IAEDANSなどの蛍光プローブによって部位特異的に標識し、それらを用いて【Ca^(2+)】輸送の各素過程におけるATPaseの構造変化について詳細な解析を行った。まずこれらの標識の結合部位について、ANM等のマレイミド型試薬はリン酸化部位近傍のCys344又はCys364を、またIAEDANSはヌクレオチド結合ドメイン中のCys674をそれぞれ特異的に修飾することを見出した。これは、輸送活性の制御を含めてATPase機能の精細な解析を進める上できわめて有用な情報である。さらに標識ATPaseを用いた構造変化の解析を進め、蛍光強度変化の比較および蛍光偏光解消等の測定の結果に基いてATPaseの分子内ドメインの運動性が各部分毎に著るしく異ることを明らかにした。また【Ca^(2+)】の結合に伴い、リン酸化ドメインと膜部分との相互作用が若干弱まるような構造変化がもたらされることも明らかになった。3.カルモジュリン拮抗剤トリフルオペラジンがATPase分子に作用して【Ca^(2+)】結合を阻害することは先に示したが、同様にW-7も【Ca^(2+)】輸送活性を阻害した。これらの試薬がATPaseの上記のような構造変化にどのような影響を与えるかは興味深い。
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