研究課題/領域番号 |
61215018
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研究種目 |
特定研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高木 博司 京大, 薬学部, 教授 (60025674)
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研究分担者 |
植田 弘師 京都大学, 薬学部, 助手 (00145674)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1986年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | キョートルフィン / シナプス膜結合性【Ca^(2+)】 / 【IP_3】 / カルシウム動員 |
研究概要 |
我々は、当教室で発見されたキョートルフィンが脳内でメチオニン・エンケファリンを遊離することによりオピオイド性の鎮痛効果を示すことを明らかにしてきた。本研究においては、この分子機構を明らかにすべく以下の実験を行なった。(1)細胞内$$Ca^(2+)$$と反応し蛍光を発するQuin$$II$$という色素をラット脳幹部スライスにあらかじめ取り込ませておき、蛍光をモニターしながらスライスをメジウムで灌流した。そこへ、キョートルフィンを$$10^(-7)$$〜$$10^(-4)$$M添加すると蛍光強度が濃度依存性に増大し、細胞内$$Ca^(2+)$$濃度が増大したことが明らかとなった。(2)細胞膜結合性の$$Ca^(2+)$$と反応し、蛍光を発するクロルテトラサイクリンを脳スライス及びシナプトゾームに作用させ、蛍光をモニターしながらキョートルフィルを添加すると蛍光強度が濃度依存性に減少した。(3)脳シナプナトゾーム標品を$$^(45)Ca^(2+)$$とインキュベートし、キョートルフィンを作用させ、EGTAを含むメジウムで反応停止させ、取り込まれた$$^(45)Ca^(2+)$$を測定すると、対照に比べ明らかに$$^(45)Ca^(2+)$$の取り込みが増大していた。以上(1)および(2)の作用はカルシウム拮抗薬により拮抗されなかったことからカルシウウチャンネル非依存性のものであることが明らかになった。ついで(4)シナプス膜標品には、$$^(45)Ca^(2+)$$を取り込むプールが存在することが明らかになったので$$^(45)Ca^(2+)$$を取り込んだ膜標品を灌流し、キョートルフィンを作用させると$$^(45)Ca^(2+)$$遊離がひきおこされた。この作用は、キョートルフィンレセプターの拮抗薬であるLeu-Arg、百日咳毒素の前処理、$$IP_3$$合成を阻害するネオマイシンの処理により遮断された。同様の$^(45)Ca^(2+)$$遊離が$$IP_3$$により引きおこされた。以上の結果より、キョートルフィンはレセプターを介し$$IP_3$$の合成を促進し、シナプス膜結合性の$$Ca^(2+)$$を細胞質へ動員し、神経終末内$$Ca^(2+)$$濃度を増大させることが明らかになった。また、この様なメカニズムがメチオニン・エンケファリン遊離に関与するのであろう。
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