研究概要 |
1.リン脂質として、アゾレクチン,ホスファチジルコリン,又はホスファチジルエタノールアミンとホスファチジルセリン混合物(混合重量比7:3)を用い、テトラヒメナ繊毛膜ベシクル又は筋小胞体膜ベシクルから、デオキシコール酸一透析法により再構成ベシクルを調製した。脂質:蛋白質重量比は5〜15:1とした。ついでこれらに凍結-融解処理を施したところ、脂質:蛋白質比が大きい時には十分に大きい巨大ベシクルが生成したが、小さい時には十分な巨大化が行らなかった。 2.凍結-融解作用によって十分に巨大化しなかった再構成ベシクルに対しては、電場融合法を適用することにより巨大ベシクルを得ることができた。又、適当な前処理を行なうことにより、生体膜ベシクルをも巨大化させうることが示された。 3.単層巨大ベシクルに微小電極を刺入し、膜の電気容量を測定することができた。しかしながら、膜電位やベシクル内イオン濃度を正しく測定するためには、更にシール抵抗を大きくすることが必要であり、パッチクランプ法の全細胞記録法技術の開発が今後極めて重要である。 4.巨大ベシクルにパッチピペットを適用してギガシールを得る条件を探索したところ、2価金属イオンの存在下に先端口径の小さなピペットを用いることにより、容易にギガシールが得られることが分った。これらの知見の上に立って、excised patch法により、グラミシジンチャネルや筋小胞体1価カチオンチャネルの単一チャネル電流を測定することができた。現在、更に詳しい解析を行いつつある。 5.以上により、巨大ベシクル再構成膜法の技術をほぼ確立することができたので、今後、この手法により、種々の生体膜のカルシウムチャネルを詳しく調べる予定である。
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