研究概要 |
最近担当者らが構造を明らかにしたアスパラガス茎枯病菌の代謝毒素を用い、宿主植物カルスの毒素に対する耐性株の選抜,再分化,再生個体の耐病性検定,形質の固定化を目的として以下の実験を行った。 1.アスパラガス(メトーワシントン)茎由来カルスの菌代謝毒素による選抜:代謝毒素としてジヒドログラジオール酸(DGA),アルチロキシンA,Bの三種が単離されている。選抜をa)MS培地,b)DGA培地,c)PG培地,d)菌培養〓液培地の四実験区について行った。その結果b)ではカルスの白色化を伴う増殖がみられた。c)では再分化カルスが多かった。d)では選抜3ケ月目に生存していたのは再分化した2個体(73個体中)のみであった。再分化した個体の節を発根培地に移植したところ6個体が発根した。これら個体の耐病性検定を予定している。 2.選抜における品種間差異:アスパラガスカルスの耐病性につき品種間差を検討した。材料としてラルジャントイユ,コールドシャッツ,エデン,グリユンクロネ,ニュージャージー,メリーワシントン,ズイヨウ,ヴァイキングの8品種を用い、菌培養濾液の酢酸エチル抽出物による選抜を行った。2ケ月後の発育状況から、ラルジャントイユ,コールドシャッツ,ズイヨウは相対的に耐性が強く、発育良好のものが多かったが、グリユンクロネ,ニュージャージーは耐性が弱く、順調に発育しているものは少数であった。これらの相対強度は同じ培地で継代培養しても変化はなかった。 3.アルチロキシンA関連化合物による選抜:数個の合成関連化合物を用いイネ幼根に対する伸長阻害活性を調べた。その結果中間体の一つにアルチロキシンA相当の活性が認められたので、これによる選抜も現在行っている。
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