研究課題/領域番号 |
61218011
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研究種目 |
特定研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
鬼頭 昭三 広島大, 医学部, 教授 (00010140)
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研究分担者 |
松林 弘明 広島大学, 医学部, 助手 (60165850)
下山 政憲 広島大学, 医学部附属病院, 助手 (60136067)
稲垣 忍 広島大学, 医学部, 講師 (90151571)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1986年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | Muscarinic acetylcholine receptor / Somatostatin / ラット海馬 / イノシトールリン脂質代謝 / Receptor-receptor interaction |
研究概要 |
多数の神経活性物質が発見されている現在、活性物質間の相互関連は重要な課題となっている。私共は従来より中枢神経系におけるアセチルコリン系とソマトスタチン系の相互関連について注目している。これまでラット脳においてSomatostatinはmuscarinic acetylchdine receptors(mAhR)のうちのMlレセプターの豊富な部位でmAchR agonist bindingを変化させることを認めている。そこで今年度は細胞内伝達系での両者の関連へと研究を進めた。Mlレセプターはイノシトールリン脂質代謝(phosphatidylinositol turnover;PI turnover)に連関することが示唆されているため、Berridgeらの方法に基づき、ラット海馬においてcarbacholとsomatostatinはそれぞれ単独にあるいはsynarchicにPI turnoverに対しどのような影響を及ぼすかを観察した。somatastatinは単独ではPI turnoverを変化させなかったが、carbacholにより刺激されたPI turnoverを有意に増強させることが認められた。このsomatostatinの作用は濃度依存性であり、somatostatin-28の方がsomatostatinより作用が強かった。この実験系にprotein KinaseCのinhibitorであるH-7を加えると、carbacholによるPI turnoverは更に亢進し、この時somatostatinの作用も増強した。一方protein KinaseCのactivatorである1-oleoyl-2-acetyl-glycerolを加えるとcarbachol自身の作用は減弱したが、somatostatinの効果は保たれていた。mAChR agonistとsomatostatinがアデニル酸シクラーゼ活性に対してはどのような影響を及ぼすかを海馬を用いて実験を行ったが、positive dataは得られなかった。以上のことから、somatostatinはMlレセプターに連関したPI turnoverのどこかに作用を及ぼすものと考えられる。somatostatinの作用は当然somatostatin受容体を介して発現すると思われるが、このようなreceptor-receptorinteractionのメカニズムを生化学的なアプローチによりり今後解明していく計画である。
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