研究概要 |
1.カルノシン(Carn)-免疫陽性所見は、嗅粘膜上皮細胞とその軸索線維束(第1次嗅神経)に、その終末は嗅球の神経線維尸を通り糸球体尸で認められた。この免疫反応は抗原(Corn-BSA)で吸収後消失した(Sakai ら,Experientia,in press)。嗅上皮は二極細胞で、樹状突起を鼻腔内へのばし、求心性の無髄の第1次嗅神経を糸球体尸でCarn-陰性の僧帽細胞あるいは房飾細胞の主樹状突起と、軸索-樹状突起間シナプスを形成している免疫電顕像が得られた。嗅上皮細胞基貭にびまん性にCarn-陽性所見が見られ、その軸索はCarn-陽性円形シナプス果粒をもち、シナプス後膜側の肥厚のある非対称性シナプスをなす。 2.タウリン(Tau)-陽性反応は、傍糸球体細胞(PGC)や果粒細胞(GrC)およびグリアにも観察された。PGCのあるものはTauとチロシン水酸化酵素(TH)-陽性所見を同時に認めた。介在ニューロンであるPGCにTauとドーパミンが共存することを意味する(Sakaiら,Biogenic Amines,in press)。 3.グルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)とTHがPGCに共存すること(Kosakaら,Brain Res.1985;Neuroscience,1986),又GABAとTHがPGCに共存すること(Kosakaら,Exp.Brain Res.1987,in press;Brain Res.1987,in press)を発表した。 4.グルタメイト(Glu)-およびアスパルテイト(Asp)-陽性反応像は、固定条件により異った。迅速固定下での陽性反応は、嗅球の僧帽細胞,房飾細胞の胞体と外叢状尸に分布する樹状突起に認めたが、これらは主に代射プールにあるGui,Aspが染まったものと思われる。エーテル吸入麻酔でゆっくり固定した場合、胞体と樹状突起の陽性反応は消失し、ドット状の終末のみが観察された。内因性のGlu,Aspが一度に放出された後、さらに終末部に取り込まれた結果と推測され、伝達物質としてのプールに属するGlu,Aspが染まったものと考えられる(Yoshidaら,Brain Res.410:169-173,1987)。
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