研究課題/領域番号 |
61219027
|
研究種目 |
特定研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立病院医療センター(臨床研究部) |
研究代表者 |
柴田 整一 医療セ, その他, その他 (40010136)
|
研究分担者 |
名取 泰博 国立病院医療センター, 臨床研究部, 研究員 (10164485)
大島 美恵子 国立病院医療センター, 臨床研究部, 室長 (20050487)
|
研究期間 (年度) |
1985 – 1986
|
研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
|
配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1986年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
|
キーワード | リソソーム酵素 / ミエロイドボディ / アミノグリコシド抗生物質 / りん脂質代謝 |
研究概要 |
メサンジウムを主座とする進行性糸球体障害、すなわちFabry病腎炎、柴田らがラット腎、肺、大動脈、胎盤などから精製した糖タンパクあるいは糖ペプチドによるラット腎炎、アミノグリコシド系抗生物質による糸球体障害ではいずれも糸球体内のメサンジウム細胞にmyeloid bodyを形成するという共通点をもつ。この糸球体内にmyeloid bodyを形成し、萎縮腎に進む型の腎炎の発症には細胞内リソソームの関与が考えられる。この発症機構の解明を最終目的として、ヒト皮膚線維芽細胞と培養系を確立した腎メサンジウム細胞とを用いて、アミノグリコシド系抗生物質を投与し、その細胞内のリソソーム酵素を中心とした代謝への影響と市販のアミノグリコシド系抗生物質12種によるmyeloid bodyの形成を電子顕微鏡で観察した。その結果、アミノグリコシド系抗生物質を投与後1日から3日で細胞内にmyeloid bodyが観察された。この時層状構造が観察できるものをTYPE I,電子密度の濃い粒子として観察されるものをTYPE IIと区別するとゲンタマイシン投与ではTYPE Iの面積よりも、TYPE IIの面積の増加が著しかった。TYPE Iの数はパロモマイシンが最も多く、またbrush border membraneへの親和性の高い抗生物質ほど細胞内へ良く取り込まれ多数のTYPE I myeloid bodyを形成した。リソソーム酵素は、酸性スフィンゴミェリナーゼ、酸性リパーゼ活性は著しく低下し、酸性ホスホリパーゼA活性は上昇が認められた。これ等の事実は、細胞の脂質代謝系に変動がある事を示している。さらに、りん脂質の分析で、スフィンゴミエリンの増加は認められなかったが、bis(monoacylglyceryl)phosphateの蓄積が認められた。この事から細胞内の脂質代謝系の変化がmyeloid body形成の主因であると思われた。またリソソーム内のpHは、pH5.73で、アミノグリコシド投与により変化せず、pHが酵素活性に影響している可能性は少ない事も判明した。
|