研究概要 |
アナタース,ルチルおよびブルツカイトの結晶型をもつ酸化チタン粉末を室温〜90℃で合成し、その光酸化活性および表面積の焼成温度による変化を調べるとともに、不純物としてFeまたはAlを加えた時の吸収波長領域および光酸化活性の変化を調べた。光酸化反応として一酸化炭素およびエタンの光酸化を行ったが、エタン光酸化は一酸化炭素光酸化より数倍速く、自動酸化の機構を含んでいるものと結論された。従って光酸化活性は一酸化炭素の光酸化速度によって評価した。 【Ti(i-PrO)_4】の加水分解によるアナタース,【TiCl_4】の塩酸水溶液による加水分解で作ったルチル,【TiCl_3】の酸化によって作ったブルツカイトの光酸化活性は焼成温度が高くなるに従い光酸化活性が小さくなる。これは表面積が小さくなる(粒径が大きくなる)ためであり、もし表面積が同じであれば三つの結晶型の酸化チタンの光酸化活性に大きな差異はない。表面積(粒径)によって光酸化活性が異なるのは表面の格子欠陥や配位不飽和なサイトが関係しているものと考えられる。すなわち、これらの点に正孔が捕捉されるため電荷分離効率が高まると考えられる。 【Ti(i-PrO)_4】を加水分解する際にFe塩や【Al(i-PrO)_3】を加えてその影響を調べた。0.1at〓%のFeを加えた場合、約600℃以上で焼成すると吸収波長端が約20mm長波長側に移動することが観測された。光酸化活性はFeを加えない場合とあまり違わなかった。しかし1ut%のFeを加えると吸収波長領域は大巾に広がるが、高温焼成で活性が失なわれることがわかった。この場合のFeは電荷の再結合センターとなっているものと考えられる。Alを0.5wt%加えた場合は吸収波長領域の変化は見られなかったが、焼成した時の光酸化活性の低下が低減されるという特徴が見られた。
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