研究概要 |
1 研究目的:レーザーカオス光を光化学反応への高密度光束として用いることを提案し、この方法による光化学反応過程の高効率化の可能性とこの方法の特徴を明かにするのを目的としている。本年度はまず赤外域及び可視域でカオスレーザーを試作しその諸特性及び特性指数と観測を研究する。 2 【CO_2】カオスレーザーの試作(赤外領域) 赤外域で高出力な【CO_2】レーザーで損失を内部変調し、外力のある2変数非線形系として【CO_2】カオスレーザーの設計試作を行った。概要を以下に示す。 (1)レーザー:定在波形Qスイッチ【CO_2】レーザー、(2)共振器:TEMoo単一モード、(2)振器長1m,モード間隔150MHz,反射鏡;Ge板,出力鏡;回析格子、(3)ガス;【CO_2】2Torr,He8Torr,(4)変調法;内部変調、変調器;CdTe結晶,変調周波数;f=50〜150kHz,変調率m=1〜6%、(4)出力;CW発振時50〜70W,発振線P(18)〜P(28),Qスイッチ動作;パルス幅Zp=1μs 3.同期励起色素レーザーによるレーザーカオス光の発生(可視領域) 多モードレーザー系に内在する不安定性によるカオス光の発生を試みる。即ち、現有のモード同期固体レーザーを改良し、これを励起光とした色素レーザーでカオス光の発生を計画した。予備実験として、モード同期ガラスレーザー(3PS)の第2高調波(0.53μm)のパルス列によりRh-6G色素レーザーを同期励起し、共振長・可飽和色素濃度を変えて自己パルス発生に基いた多重周期パルス列の発生を試み、出力波形・スペクトルの観測を試みている。 4.結果・今後の予定:(1)現在【CO_2】カオスレーザーは試作中で電源安定化・変調器の製作中である。(2)色素レーザー系は予備実験中で励起用レーザーの安定化を行っている。(3)特性指数:Lyaponov因子,Fractal次元を時系列から求める方法を検討している。(4)今後、カオス光の発生と特性の観測を行い、次いで光化学反応への適用を試みる予定。
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