研究概要 |
昭和59年度海外学術調査で採集したニューギニア産のオオジョロウグモおよび、日本産ジョロウグモを材料としてグルタミン酸アンタゴニストの単離を行った。 クモ毒腺を60%【CH_3】CNでホモジネートし、3000rpm 5分間遠心分離を行い、上清をTSK-120T ODSカラム(4.6×250mm)を用いて、0.02%HClから、50%【CH_3】CN、50分間の直線濃度勾配法で溶出し、210nmの紫外部吸収を指標として分画した。イセエビを用いるアッセイで、ニューギニア産オオジョロウグモ,日本産ジョロウグモともに複数の活性画分が得られた。活性画分は更に7.8×300mmのカラムを用いて再クロマトグラフィを行った。オオジョロウグモからNSTX-1,-2,-3、ジョロウグモからJSTX-1,-2,-3,-4の活性物質を得た。これら活性物質のNMRスペクトルは良く似たスペクトルを示した。また、【E_x】280nm,【E_m】310nmの自然蛍光及び、210nmと280nmに2ケの紫外部吸収極大を有していた。NSTX-1,-2,-3のFAB-MASSスペクトルを測定した結果、NSTX-2からM/Z 567【[M+H]^+】,NSTX-3からM/Z 665【[M+H]^+】が検出された。塩酸加水分解後のアミノ酸分析の結果、アスパラギン酸とカタベリンが共通に検出され、他にアルギニン,プトレアニンなどのアミン成分が検出された。アミン以外の共通成分としては、2,4-ジヒドロキシフェニル酢酸が【^1H】-COSY-NMRスペクトルおよび、0.25Mシュウ酸加水分解後、酢エチ抽出物のNMRスペクトルから検出された。NSTX-3の構造は、NMRスペクトル,部分加水分解での遊離物の経時変化,NMRによるPH滴定などから次のように推定した。
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