研究課題/領域番号 |
61225010
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研究種目 |
特定研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
藤澤 有 三重大, 工学部, 教授 (60115730)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1986年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 不斉合成反応 / 両ジアステレオ面区別反応 / 有機金属試薬 / 配位機能 / (S)-2-メトキシメチルピロリジン / 光学活性α-アルキル-α-ヒドロキシシクロヘキサノン / 光学活性オキシラン / 光学活性α-ヒドロキシケトン |
研究概要 |
不斉合成反応においては一般に入手できる不斉源は対掌体の一方のみであるために反応によって得られる生成物も一方の光学異性体だけに限られる。本研究においては各有機金属試薬が特有の配位機能を持つことに着目し、不斉源として天然アミノ酸である(S)-プロリンから誘導した(S)-2-メトキシメチルピロリジンを選び、これをα位に導入した各種カルボニル化合物に対する付加反応において有機金属試薬を使い分けることにより両対掌体を作りわけることに成功した。すなわち、シクロヘキサン-1,2-ジオンから誘導したα-ケトエナミンのアルキル化反応においてGrignard試薬と有機リチウム試薬ではカルボニル面に対する付加方向が逆転し、それぞれ逆の立体配置を持つα-アルキル-α-ヒドロキシシクロヘキサノンを高い光学純度で得ることができた。これらの結果は、中心金属であるリチウムおよびマグネシウムがそれぞれ四および六配位構造をとると考えることにより説明できる。次に有機金属試薬が両ジアステレオ面を区別する構造的効果を明らかにするため基質のカルボニル化合物が非環式であり二重結合を持たないα-((S)-2メトキシメチルヒロリジノ)ケトンと有機金属試薬との反応を検討したところ、やはりこの場合もGrignard試薬あるいは有機亜鉛試薬を用いた場合と、有機リチウム試薬を用いた場合とではカルボニル面に対する付加方向が異なり、しかも前述のα-ケトエナミンとは方向が逆転することを見いだした。また得られたアミノアルコールを酸化タリウムで処理することによりそれぞれ光学活性オキシランの両対掌体へ誘導することができた。さらに光学活性のベンヅイルキ酸アミドに対する有機金属試薬の付加反応においても中心金属のルイス酸性を変化させることによりジアステレオ面を識別させることができ、得られる生成物より不斉源を除去することにより光学活性α-ヒドロキシケトンの両対掌体を合成しわけることに成功した。
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