研究概要 |
1)σ-アリル錯体の生成と反応 第10族元素のπ-アリル錯体,M(π-【C_3】【H_5】)(Ar)(P【Ph_3】)【1!〜】(M=Ni,Pd,Pt;Ar=【C_6】【H_3】【Cl_2】-2.5)とP【Ph_3】の反応によるσ-アリル錯体種M(σ-【C_3】【H_5】)(Ar)【(PPh-3)-2】【2!〜】の生成の容易さは、M=Ni《Pd〈Ptの順に大きくなることが判明した。【2!〜】の型のパラジウム錯体は不安定で単離できなかったが、Pd(σ-【C_3】【H_5】)-(Ar)(diphos)【3!〜】(Ar=【C_6】【H_3】【Cl_2】,【C_6】【F_5】;diphos=【Ph_2】PC【H_2】C【H_2】P【Ph_2】)は単離することができ、σ-アリルパラジウムとしては珍らしいほどの高い安定性を示した。いくつかの親電子剤(HCl,【Br_2】,C【Cl_4】,無水マレイン酸など)は【3!〜】とすみやかに反応し、末端アリル炭素を選択的に攻撃することが明らかになった。 2)π-アリル錯体の環元脱離 【1!〜】の還元脱離によるC【H_2】=CHC【H_2】【C_6】【H_3】【Cl_2】の生成の容易さは、M=Pt《Pd〈Niの順になることが、反応速度の比較から明らかになった。同種の構造を持つ有機ニッケルとパラジウムとで還元脱離反応性を定量的に比べたのは初めての例である。以前に推定したオレフィンで促進される【1!〜】(M=Pd)の還元脱離の反応機構にとって鍵となる中間体,オレフィン錯体のモデルを,Pd(π-【C_4】【H_7】)(Ar)(Olefin)【4!〜】(Ar=【C_6】H【Cl_4】-2,3,5,6)として低温で生成させた。置換スチレンを持つ【4!〜】の還元脱離におよぼすオレフィンの電子効果(Hammett ρ=1.42)と、基底状態における【4!〜】の相対安定性におよぼす電子効果(Hammett ρ=-0.42)とはかなり異ることが判明した。後者の置換基依存性も、一般的な平面四配位パラジウムや白金のオレフィン錯体における強い親電子的依存性とはかなり違った傾向である。
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