研究課題/領域番号 |
61228009
|
研究種目 |
特定研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小笠原 直毅 阪大, 医学部, 助手 (10110553)
|
研究期間 (年度) |
1986
|
研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
|
配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1986年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
|
キーワード | 枯草菌 / 胞子形成 / 染色体複製 / dnaA遺伝子 |
研究概要 |
枯草菌は、その成育環境中の栄養源が低下すると、通常の増殖サイクルを停止し、胞子形成へ至る一連の逐次的反応を開始する。この過程は、環境の変化に応じて遺伝情報発現の制御系が広範に変化する興味深いものであるがその分子機構の詳細は不明である。我々は、枯草菌染色体の複製開始の制御に中心的役割を果たすと考えられる"dnaA"遺伝子を発見し、その機能の解析を進めてきたが、胞子形成反応の最初の過程が、特異な一回の染色体複製とそれにひき続く細胞の不等分裂によって特徴づけられることより、"dnaA"遺伝子には胞子形成と関連した特異的な制御が行なわれていると予想しその実体の解明を目ざした。枯草菌"dnaA"遺伝子は、、その塩基配列が大腸菌dnaA遺伝子と強い相同性を示すことより見出されたものであり、その枯草菌における機能は直接的に確認されていなかった。そこで、本年度は、その変異株の単離の試みより始めたが不成功であった。しかし、"dnaA"遺伝子の上流及び下流に存在するdnaA蛋白結合配列は、プラスミド上に存在する時、枯草菌染色体の複製開始反応を阻害することが明らかになった。このことは、枯草菌においても、dnaA蛋白とdnaA蛋白結合配列との相互作用が、復製開始の制御に関与することを示している。更に、胞子形成過程における、"dnaA"遺伝子の転写産物量の変化を、S1マッピング法により解析したところ、染色体複製の停止と平行して、"dnaA"遺伝子の転写が特異的に押さえられることが示された。一方、不等分裂が起こらない胞子形成能欠失変異株では、転写がより長時間続き、野性株での転写の停止は、胞子形成遺伝子の支配下にあることが明らかになった。今後、"dnaA"遺伝子の発現調節を行なっている制御因子の実体を明らかにすることが重要であり、胞子形成反応の分子機構の解明に大きな寄 が期待できる。
|