研究課題/領域番号 |
61228015
|
研究種目 |
特定研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
原 弘志 遺伝研, 細胞遺伝研究系, 助手 (00173071)
|
研究分担者 |
西村 行進 国立遺伝学研究所, 細胞遺伝研究系, 助手 (30029699)
|
研究期間 (年度) |
1986
|
研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
|
配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1986年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
|
キーワード | 細胞分裂 / ペニシリン結合蛋白質3 / ペプチドグリカン / リポ蛋白質ボックス / 蛋白質の膜通過 / プロセシング / 試験管内プロセシング系 |
研究概要 |
大腸菌のペニシリン結合蛋白質3(PBP-3)は、細胞隔壁形成を行なう酵素として細胞分裂に不可欠の役割を果たしている膜蛋白質であり、ペニシリンの致死標的の一つとなっている。私達はさきに、PBP-3の構造遺伝子ftsIをクローン化して全塩基配列を決定し、そのクローンを用いて過剰産生させたPBP-3の精製法を確立し、その活性中心を決定している。 本研究により得られた成果は次の通りである。 1.PBP-3は、ブラウンのリポ蛋白質の修飾・プロセシング部位とよく似たアミノ酸配列(リポ蛋白質ボックス)を持ち、一部(約10%)がN末端にリピドによる修飾を受けてリポ蛋白質となっていることを明らかにした。 2.PBP-3は、細胞外膜・ペリプラズムに極在化するいわゆる分泌蛋白質と共通の細胞装置の働きで細胞質膜を通過すること、そのようにして細胞表層に組込まれて初めての細胞分裂機能を発現することを証明した。 3.PBP-3は、分子量の大きい前駆体として合成され、細胞質膜通過後、プロセシングを受けて成熟体となること、そのプロセシングは既知の2種のシグナルペプチダーゼとは別の第三の酵素が行なうと考えられることを示した。4.このPBP-3に特異的なプロセシング酵素に欠損を持つ温度感受性変異株を発見し、その遺伝学的解析を行なった。 5.PBP-3に特異的なプロセシング反応の試験管内再構成系を確立した。 6.以上の結果から、PBP-3分子が、リビドで修飾されたN末端で外膜に、疎水性アミノ酸配列を持つC末端付近で細胞質膜に結合した形で細胞表層に組込まれ、分子中央部の活性中心がちょうど細胞壁のペプチドグリカン層に位置して、細胞隔壁形成機能を発揮するというモデルを堤唱した。
|