研究概要 |
落花生の莢実部に光の種類をかえて照射し、莢実部の生育及び種子の成分について検討を行った。すなわち子房柄が地中に進入後、20,30および50日目に地中から取り出し、ガラスビーズと培養液を入れた容器に導入し、容器をアルミ箔(D),透明(L),赤(R),青(B),緑(G),赤と青(R+B)のセロファン紙で覆った。容器に導入後、それぞれ50,40,20日目(すなわち、子房柄が地中に進入後70日目)に収穫した。 莢実部の生育は光の種類,照射日数により異った。すなわち20日目から照射した区では、L,G,R+Bの莢の肥大が抑制され、また70日目では何れの光を照射したものも、莢,種子とも明らかに小さかった。 30日目より照射した区では、莢重はしL,BはDよりも大きかったが、種子重はR+Bと共に小さかった。これらはL,Bでは莢から種子への光合成産物の転流が抑制されたものと推定される。GはDとほとんど大差なく、30日目以降の緑の照射は種子の成塾にほとんど影響がないものと思われる。またRの種子重はD,Gよりも小であったが、Bよりも大きかった。 50日目より照射した区では、莢,種子重ともほとんど大差がなく、50日目以降の莢実部への光の照射は種子の生育に影響をおよぼさないものと考えられる。 30日目より照射した種子の脂質含量は、光の種類により異なった。すなわち、GはDとほとんど変らなかったが、他の光を照射したものはいずれも低下した。その低下はL,B,R+BがRよりも大きかった。一方、種子の糖含量は脂質とは逆の結果を示した。これらのことは落花生の脂質の生成が、光の種類により制御されている可能性のあることを示唆している。 次年度は内生物質を結実圏に供給し、莢実の生育の促進の可能性について検討を行う。
|