研究課題/領域番号 |
61230010
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研究種目 |
特定研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
吉田 賢右 東京工大, 理学部, 助教授 (90049073)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1986年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 【F_1】-ATPase / ATP合成酵素 / 複数活性部位間の相互作用 / 生体膜のATP合成機構 |
研究概要 |
1.ウシの心筋ミトコンドリアの【F_1】-ATPaseのATP水解反応の協同性について、種々の化学修飾で定常的な水解活性を失ったものについて詳細に調べた。その結果一見化学修飾で失活した【F_1】-ATPaseでも1個目のATPは水解しうること、正常の酵素と同じく2個目(あるいは3個目)のATPの結合で1個目のATPの水解が促進されるケースがあることが判明した。そうすると、一体どこのステップが阻害されているのかが問題になる。とにかくATP水解の最初に近いステップは容易に失活しないことがわかった。 2.また同じ酵素で1個目のATPを結合させておき更に過大量のATPを加えてみる。後から加えるATPが適当な量だと、既に先に結合しているATPよりも先に後から加えたATPの方が水解されてしまうことがわかった。これは不思議なことであり、既存の仮説では説明しがたい。 3.酵母の酵素もどうやら牛の【F_1】-ATPaseと同じく特徴的な協同的なATP水解を示したが、その反応速度定数は牛のものと大分違っていた。 4.反応液中にPiが存在しないとATP水解の協同性が弱くなることが報告されているが、牛でも酵母でも、Piの効果は小さかった。 5.好熱菌の【F_1】-ATPaseおよび牛の【F_1】-ATPaseで高濃度のリン酸(200mM)が存在すると定常的なATP水解は非常に遅くなる。にもかかわらず1個目の水解は正常である。あるいは好熱菌のATPaseは逆にDMSO存在下で定常的なATP水解は正常であるにもかかわらず、1個目の水解は強く阻害されている。これらの事実は少くとも3個あると考えられる【F_1】-ATPaseの活性中心の相互作用や役割は、現在支配的な説そのままでは説明しがたいことを示している。
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