研究課題/領域番号 |
61230011
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研究種目 |
特定研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
今井 宣久 名大, 理学部, 助教授 (10022526)
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研究分担者 |
吉野 茂雄 名古屋大学, 理学部, 助手 (50191630)
飯尾 隆義 名古屋大学, 理学部, 助手 (10022716)
飯田 荘象 名古屋大学, 理学部, 助手 (80022664)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1986年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 蛋白質分子の並進拡散係数 / 血清アルブミン / 荷電効果 / 低分子イオンとの静電相互作用 |
研究概要 |
本研究の目的は、溶液中における蛋白質の分子運動を実験的、且つ理論的に解析することであるが、本年度においては、特に血清アルブミンを試料として分子運動の荷電効果を詳細に解析した。測定は、高純度化した試料につき、準弾性光散乱法(ホモダイン)により種々の塩濃度及びPH環境下における時間相関関数【g_2】(t)を求め、これより並進拡散係数Dを求めることによって行われた。実験データーの解析結果から次のことが明らかとなった。 1.高純度アルブミン溶液では塩濃度が大、または等電点の状態、すなわち電荷Z=0でlog(【g_2】(t)-1)〜tプロットが直線となる理想的拡散係数を与える。 2.高純度試料ではZ≠0で上のプロットは湾曲するが、t=0での勾配よりシスティマテックなDが得られる。このDは蛋白濃度に関し、Zが大なる程強い非線型拡散を示す。 3.アルブミンの低純度ではdimerなどが共存し、上のプロットは湾曲し、Zの影響を取出すことは不可能となる。systematicな勾配が得られない。 4.拡散係数の荷電効果は、吾々の理論と照らし、蛋白分子間静電斥力ではなく、蛋白分子のまわりのcounterionの速い拡散による蛋白分子の引きづられ効果によるものとして完全に説明されることが分った。 以上の結果は、蛋白質分子の拡散係数は、直接的な分子間静電相互作用による影響よりも、高分子イオンと対イオン間の静電相互作用の効果が圧倒的に重要であることを示すと共に、静電効果以外の蛋白質間相互作用を実験的に解析することの可能性を示したものである。 以上の他、本研究においては、蛋白質の滴定に関するHasselbalch-Marinskyの関係式を蛋白質上の【H^+】のゆらぎの概念によって理論的に導くことに成功した。
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