研究課題/領域番号 |
61232007
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研究種目 |
特定研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤原 元始 京大, 医学部, 教授 (90025536)
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研究分担者 |
岡本 新一郎 京都大学, 医学部, 助手 (40160717)
三輪 聡一 京都大学, 医学部, 助手 (40157706)
成宮 周 京都大学, 医学部, 助手 (70144350)
谷口 隆之 京都大学, 医学部, 助手 (10111957)
倉橋 和義 京都大学, 医学部, 講師 (10025653)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1986年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 脳血管スパスム / 内皮細依存性収縮 / 内皮細胞由来TX【A_2】様物質 / VOC / ROC |
研究概要 |
最近、未梢動脈の内皮細胞が血管平滑筋緊張低下に重要な役割を果していることが示された。一方、私達は、脳動脈の内皮細胞活性化にともなって遊離するTX【A_2】様物質により脳血管が収縮することを報告してきた。そこで本研究において、イヌ脳血管の静止時緊張維持に対する内皮細胞の関与、およびヒトクモ膜下出血患者(しばしば脳血管攣縮発現)より得た脳脊髄液試料に内皮細胞活性化作用があるのかどうか、さらにTX【A_2】の類編物質である。ST【A_2】収縮反応におけるVOCおよびROCの関与について検討した。 イヌ脳血管は、冠血管に比し有意に大きなnifedipine感受性筋緊張を示した。また、内皮細胞除去は、nifedipine感受性筋緊張を有意に減少させた。さらに、nifedipine感受性筋緊張は、TX【A_2】拮抗薬によっても抑制された。これらの結果より、脳血管静止時筋緊張に内皮細胞が関与し、しかも内皮細胞から遊離する血管作動性物質は、TX【A_2】様物質であろうことが示された。ヒトクモ膜下出血患者の脳脊髄液を凍結乾燥した試料は、イヌ脳血管の内皮細胞除去標本では収縮反応をひきおこさず、内皮細胞正常標本では収縮反応をひきおこした。血液の混じっていない脳脊髄液試料は、両者の標本において殆んど収縮反応をひきおこさなかった。クモ膜下出血脳脊髄液試料による内皮細胞依存性収縮反応はTX【A_2】括抗薬により抑制された。これらの結果は、クモ膜下出血脳脊髄液中に脳血管内皮細胞活性化物質の存在を示し、その活性化は、TX【A_2】遊離を促進することが示唆された。さらに、【Ca^(2+)】-free、EGTA、nifedipine含有栄養液を用いTX【A_2】の近縁物質であるST【A_2】存在下に【Ca^(2+)】を添加すると収縮反応をひきおこし、脳血管はVOC依存性収縮以外にROC依存性収縮をひきおこすことが示唆された。以上の結果により、脳血管スパスムに、内皮細胞由来のTX【A_2】様物質によるVOCおよびROC依存性収縮の関与する可能性が示唆された。
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