研究課題/領域番号 |
61232012
|
研究種目 |
特定研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
田川 邦夫 阪大, 医学部, 教授 (40028296)
|
研究期間 (年度) |
1986
|
研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
|
配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1986年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
|
キーワード | Bleb / 虚血障害 / 酵素漏出 / 循環障害 |
研究概要 |
本年度の研究目標は、虚血肝細胞に生じるBlebの成因を細胞生化学的に追求することと、Bleb形成及び崩壊に伴う血流障害を定量的に検討し、虚血による細胞障害の大きな要因である血流量の減少の細胞学的根拠を明らかにすることであった。以上の関点から実験した結果、本年度は次の成果が得られた。 Blebの形成を形態学的に追跡したところ、Blebは虚血後初期は肝細胞からの小さな突出として観察されるが、虚血時間の延長により次第に増大し、やがては類洞空間の大部分をBlebによって占められるようになった。虚血に保った後、灌流を行うとBlebは肝細胞からはずれsGOTなどの細胞質酵素の灌流液への漏出がみられた。この時流速を1/10に減少させるとsGOTの流出は認められず、生成したBlebも肝細胞に付着したままであった。灌流液にデキストランを加えて粘度を高くすると、その粘度の増加に伴って漏出するsGOTの量が増加した。以上の結果と咋年までに報告した結果を合わせると、Bleb形成は、虚血によるATPレベルの低下→ミトコンドリアから細胞質への【Ca^(2+)】の流出→【Ca^(2+)】依存性蛋白分解酵素の活性化と細胞骨格系の障害、の結果惹起され、生じたBlebは肝細胞よりはずれ血中に放出されることを示している。またラット灌流肝を一定時間無酸素状態に保った後灌流を再開し、再開時に一定量の赤血球をパルス注入して肝に残存した赤血球量を分光学的に求めたところ、残存する赤血球量は残存時間に比例して増加した。この結果は虚血によって生じたBlebにより肝内で循環障害が生じていることを示している。
|