研究課題/領域番号 |
61232013
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研究種目 |
特定研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
高井 義美 神戸大, 医学部, 教授 (60093514)
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研究分担者 |
溝口 明 神戸大学, 医学部, 助手 (90181916)
山下 孝之 神戸大学, 医学部, 助手 (10166671)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1986年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | Cキナーゼ / 血管平滑筋細胞 / 細胞増殖因子 / イノシトールリン脂質代謝 / 発がんプロモーター / 細胞増殖 / 細胞周期 / 動脈硬化 |
研究概要 |
血管平滑筋細胞における血管作動性物質やPDGFなどの細胞増殖因子の細胞膜受容伝達機構にイノシトール三リン酸-【Ca^(2+)】系とジグリセリド-Cキナーゼ系が関与することは決定的であり、血管平滑筋細胞の収縮や増殖の機構を分子レベルで理解するにはこれらの伝達系の機能を解明することが重要である。イノシトール三リン酸は【Ca^(2+)】を動員してアクトミオシン系の活性化に働くことが証明されているが、Cキナーゼの血管平滑筋細胞における生理的役割はいまだ明確でない。そこで本年度はこの点を明確にすることを試み以下の成果を得た。細胞周期が【G_0】期にある培養血管平滑筋細胞において、PDGFはDNA合成を促進した。Cキナーゼ活性化作用をもつ発がんプロモーター(TPA)もこの反応を促進したが、その程度はPDGFの半分であった。またCキナーゼを特異的に消失させた細胞ではTPAによるDNA合成は完全に抑制されたが、PDGFによる反応は半分程度抑制された。一方、【G_0】期にある血管平滑筋細胞を血清で刺激するとホスホリパーゼC反応を介してCキナーゼが活性化され、その後細胞は【G_1】期に移行した。TPAはこのホスホリパーゼC反応を著明に抑制した。またTPAは血清によるDNA合成も抑制した。このDNA合成抑制効果は【G_1】後期にも認められた。 以上の実験結果より、CキナーゼはPDGFによるDNA合成に関与し、この反応にはCキナーゼ以外の伝達系も関与することが判明した。さらに、Cキナーゼは細胞増殖因子の受容体と共役したホスホリパーゼC反応のフィードバック抑制に関与する一方、細胞周期の【G_1】後期からS期への進行をも阻害することが明らかとなった。このように現時点までに血管平滑筋細胞におけるCキナーゼの生理的意義はかなり解明できており、当初の研究目標はほぼ達成された。
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