研究課題/領域番号 |
61232021
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研究種目 |
特定研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
秦 葭哉 慶応大, 医学部, 講師 (70051258)
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研究分担者 |
石井 寿晴 慶応義塾大学, 医学部病理, 講師 (30101893)
福沢 恒利 慶応義塾大学, 医学部内科, 助手 (40146593)
及川 孝光 慶応義塾大学, 医学部内科, 助手 (20129357)
山内 喜夫 慶応義塾大学, 医学部内科, 助手 (20129711)
山本 実 慶応義塾大学, 医学部内科, 助手 (30129720)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1986年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 動脈組織内リポ蛋白濃度 / 血清リポ蛋白 / アポリポ蛋白 / 組織内部環境 / 泡沫細胞 |
研究概要 |
正常動脈組織に見出される血清由来のリポ蛋白について、つぎの諸点を明らかにしえた。1)正常の動脈組織内にも、血清リポ蛋白の蛋白部分であるアポ蛋白A-【I】,A-【II】,B,C-【II】,C-【III】,Eの全種が存在することが、組織蛍光抗法および組織液のSDS密度勾配PAG電気泳動で確認された。2)組織からのリポ蛋白の回収は、トリス塩酸緩衝液を用い、氷冷下3分間のホモジナイズが適当であった。3)組織液のPAG電気泳動で血清VLDL,LDLと同じ移動度のバンドが認められ、電顕下で血清リポ蛋白と同じ粒子が認められ、組織内にリポ蛋白粒子が存在すると考えられた。4)組織よりの回収試験によりリポ蛋白の約2/3は、組織液に溶けるか、周囲組織にゆるく付着した状態で存在するとみられた。5)その濃度は、SRID法による定量でアポBを含むリポ蛋白が血清の約1/7〜1/10のレベルにあった。アポA-【I】,A-【II】を含むリポ蛋白は、血清の約1/50の濃度であった。6)この組織内濃度は、組織内の水分がすべて細胞外にあり、湿重量の70%を占めると仮定した値である。組織内水分の細胞内外の割合については現在解析中である。 これらの成績をみると、内皮の配列が保たれ、病変の形成をみない正常な動脈組織では、内皮により調整された量の血清リポ蛋白が組織に取り込まれ、血清とは勾配をもった濃度のリポ蛋白が組織間隙を流れて、組織の内部環境を形造っていると考えられる。組織内濃度の変化が、動脈組織内の平滑筋細胞やマクロファージに対する内部環境の変化となり、細胞内への脂質の取り込み量を変え、ひいては蓄積につながり、泡沫細胞の生成につながると考えられる。組織内リポ蛋白の質と量の変化は、泡沫細胞形成の機序、動脈硬化発症の出発点として重要である。
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