研究分担者 |
高橋 勇悦 東京都立大学, 都市研究センター, 教授 (90014779)
長谷川 公一 東北大学, 教養部, 助教授 (00164814)
竹内 彰啓 東北学院大学, 教養部, 助教授 (20125602)
横井 修一 岩手大学, 人文社会科学部, 助教授 (00048802)
五十嵐 之雄 東北学院大学, 教養部, 教授 (00048737)
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研究概要 |
1.最近における急激な都市化・情報化・高齢化の進展にともない, 一方では社会システムのあらゆるレベルでの巨大化・管理化が進行し, 他方で個人の自律化と生活のプライバタイゼーション(私人化)への期待が高まっている. このような錯綜する社会的状況のもとで, 「公・私」の機能分担のあり方をめぐるイッシューが, 現代社会にとってのひとつの中枢的な問題状況を構成していることが収集した関連文献・資料の解読と聴取調査結果の分析から, より明確化されつつある. 2.とくに地域生活イッシューの処理をめぐる「公・私」の機能分担の諸相を, 典型的とみなし得る数地点の地方都市や町村を対象として, (1)地方行政機構の対応と住民の生活要求の実態, (2)両者のズレやコンフリクト発生のメカニズム, (3)地域諸団体やリーダー層の機能, (4)一般住民の「公・私」観念の意識構造の分析などによって, 体系的に解明した. 3.さらにコミュニティ形成との関連において, 福祉と医療をめぐる「公・私」の役割分担に焦点を向けながら典型事例(岩手県沢内村)に対して集中的な調査と分析を行った. 4.これらの調査研究の結果, たしかに顕在化された生活イッシューの相異によって「公・私」の機能分担のあり方が類型的に異なり, 「公・私」観念の意識構造も状況に応じてかなり可変的であることが判明した. しかしそのような多次元的構造にもかかわらず, 現代日本人の「公・私」の役割分担と意識構造には, ある種の基本的なパターンの析出が可能であることが予測されつつある. それらの解明を通じて, さらに現代日本におけるコミュニティのあり方, とくにそこにおいて望ましいと思われる「公・私」の機能分担のパターンの提示と, その実現の客観的可能性の探究をも企図しているが, それらは今後の課題である.
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