研究分担者 |
高木 正朗 立命館大学, 産業社会学部, 助教授 (70118371)
河野 健男 山口大学, 教育学部, 講師 (40144901)
兼田 繁 福島大学, 経済学部, 助教授 (20134158)
上田 惟一 関西大学, 法学部, 教授 (40067715)
鯵坂 学 広島大学, 総合科学部, 助教授 (60135960)
吉原 直樹 立命館大学, 産業社会学部, 助教授 (20140113)
広原 盛明 京都府立大学, 生活科学部, 教授 (90046475)
|
研究概要 |
本総合研究は, 都市の社会構造と自治に関する究明を町内会に焦点をあてながら進めることを中心的な課題とした. まず, その第1の課題は, 町内会の歴史的沿革を解明することであった. 近世においては, 奈良の町内構造を人口学的視角から明らかにした. 明治以降の近代においては, 京都を対象としてその変遷をたどった. 特に, 第2次大戦後の占領下から講和条約締結にいたる町内会の禁止時期の実態は, これまで十分な解明が為されていなかったが, 今回京都, 東京, 大阪において明らかにすることができた. 第2の課題は, 各地の町内会の組織と活動をその市の社会構造の中で明らかにすることであった. 大都市圏における幾つかの事例の中に新しい質の活動をとらえることができた. 工業都市においては大企業との関係の中で展開する様子が釜石と豊田において対比的にとらえられた. 地方都市では伝統的な性格を色濃く残しながら変化の中にある状況が分析された. また, 集合住宅における住民の自治活動の展開を分析した. これらのうち9都市の地域住民にたいする生活と意識の調査を行ったが, 地域生活と町内会の関連が明瞭にとらえられた. それらの考察の上に, 町内会の組織類型, 行政との関連, 地方政治との関連について総括的に検討を加えた. 2つの課題を通して, 我々は町内会を「住縁アソシエーション」と規定し, それが真のコミュニティに発展することが国家権力によって抑止されるとき, 近世以降の歴史に見るように「矮小化されたコミュニティ」としての町内会, 「疎外されたコミュニティ」としての地方行政体が現れるという分析の枠組みを得, 今後の町内会の可能性を地域の諸自治活動の「培養器(インキュベーター)」として把握しようとしている. 第3の課題は, 外国の地域生活と住民自治との比較考察であるが, イギリスの現段階の状況を把握したほか, フランス, アメリカについての研究を行った.
|