研究分担者 |
古瀬 清秀 広島大学, 文学部, 助手 (70136018)
佐竹 昭 広島大学, 総合科学部, 講師 (00127656)
中山 正太郎 明石工業高等専門学校, 助教授 (10141904)
頼 祺一 広島大学, 総合科学部, 教授 (50033494)
有本 正雄 (有元 正雄) 広島大学, 文学部, 教授 (60079267)
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研究概要 |
本研究の研究成果は以下の如くである. 基礎的作業として, たばこと塩の博物館(東京), 赤穂塩業資料館(赤穂市), 野崎家(倉敷市), 竹原書院図書館(竹原市), 吉井家(竹原市), 篠原家(鳴門市)が所蔵する塩業関係史料の調査, 及び史料蒐集を行なった. なかでも塩田地主で塩問屋を兼ねる吉井家所蔵の尨大な学問・文化関係資料は, 塩田文化さらには近世庶民文化を研究する上で貴重な資料である. 一方, 個別研究では, 分担研究者は, それぞれのテーマについて研究を深めていった. 以下, 若干の個別研究について記す. 古代の塩生産が政治権力と結びついて発展したことを, 古墳との関連で明らかにした. 製塩業においては燃料が重要な位置を占める. 製塩に用する薪の量と, それに必要て山林面積を試算した. また従来, 塩田における石炭使用の開始年代が安永7(1778)年とされていたが, 宝暦13(1762)年以前にさかのぼることを明らかにした. 近世前期に塩田の分割と統合が行なわれるが, その目的は塩田の区画整理と生産技術の改良にあった. また全国的規模において, 塩の消費の諸側面に検討を加え, 近世末期に塩の消費量が約470万石であることを明らかにした. 近代塩業については, 明治38(1905)年の専売制施行が, 大規模塩業と小規模塩業の併存という塩業の二重構造の解消を一つの目的であったことを指摘した. また, 明治期の塩田小作人の利潤について検討を加えた. 明治期から昭和期にかけて塩田地主の変遷を明らかにしたことも成果の一つである. なお近世の塩田地主を担い手とする塩田文化について検討を加えた. また未開拓の分野である, 塩田における信仰についても検討を加えた. 個別研究の多くは未完成で, 今後さらに研究を進め, 後日, 論文集『瀬戸内塩業史の総合的研究』として刊行する予定である.
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