研究分担者 |
青木 孝寿 社団法人部落問題研究所, 研究員 (90072694)
池田 敬正 京都府立大学, 文学部, 教授 (00071209)
井ケ田 良治 同志社大学, 法学部, 教授 (90066093)
朝尾 直弘 京都大学, 文学部, 教授 (20025018)
鈴木 良 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (70179274)
|
研究概要 |
我々は, 文部省の科学研究費補助金により, 昭和62, 63年にかけて「近代天皇制下における地域支配と部落問題」の研究にとりくんだ. その研究の目的は日本近代社会全体との関連で未解放部落の存立条件, 部落差別の根源を探ろうとするものである. そのために我々は, 1.近世戝民支配の性質を明確にすること, 2.近代天皇制下での地域支配への移行過程を明確にすること, 3.自由民権期の未解放部落における動きを「自由平等」主義の主張とのかかわりで明らかにする等を課題として, この間, 東京・埼玉・和歌山・滋賀・三重・大阪・京都の6都府県にわたって, 史・資料調査を実施し, その分析のために研究分担者による合同研究会を5回開催し, 共同推進してきた. その中で明らかになったことは, 1.近代日本社会の基礎にには, 町村の伝統的社会関係存在し, それが封建的身分差別の慣習を持続させてきた. 2部落はこの社会関係から疎外され, 閉鎖的, 「共同体」的関係のなかに存立した. 3.天皇制権力は, その支配を固める上で, 町村合併・学校区などにも部落差別を容認した. また, 部落の有力者もこの体制に組み込まれた. 近代日本の部落差別を残したものは天皇制的地域支配である-というものである. 本研究では, 近代史専攻の研究者が参加し, 江戸時代から明治維進への部落の変化を追求し, 数々の新知見を発掘することが出来た. また都市史研究の高まりをうけて, 西日本の巨大都市での部落問題を追求する作業が進展した. こうした研究の進展によって, 近代日本の部落問題を歴史的・総合的に把握する方向がさらに強められたということが出来る.
|