研究課題/領域番号 |
61301058
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研究種目 |
総合研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
文学一般
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
平川 祐弘 東京大学, 教養学部, 教授 (80012368)
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研究分担者 |
牧野 陽子 成城大学, 経済学部, 助教授 (70165687)
土谷 直人 東海大学, 文学部, 助教授 (60147113)
井上 健 京都大学, 教養部, 助教授
川本 皓嗣 (川本 晧嗣) 東京大学, 教養学部, 助教授 (10012478)
川西 進 東京大学, 教養学部, 教授 (40012299)
土屋 直人 東海大学, 文学部, 専任講師
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研究期間 (年度) |
1986 – 1987
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
5,400千円 (直接経費: 5,400千円)
1987年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1986年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
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キーワード | 自伝文学 / 自我の確立 / 反動形成 / 私小説 / 父と子 / 母と子 / 高村光太郎 / ラフカディオ・ハーン / 小泉八雲 / 甘え / 自伝 / 親と子 / 伝記 / 人間の自己形成 / 個我 / エゴ / 家父長的権威 |
研究概要 |
自伝文学を研究する課題で, 自我の確立が父親に対する反動形成である場合が多く, 日本の私小説を含めて「父と子」の対立の問題がクローズ・アップされた. また幼児期における母親との関係によって人の対他人の態度が強い影響を受けるものであることも確認された. 具体例として高村光太郎の場合が父高村光雲に対する反動形成である. 光太郎の詩における交響曲的な構築的要素とsich bildenの態度が, 彼の作品における自伝的要素と関係していることが判明した. 自分自身の人生を, 父や家の意志でなく, 自己自身の手で築こうとする意欲は当然自伝的作品執筆の態度と化するわけである(『道程』). しかし, その造型作業中には我が人生のフィクション化もまじるものである(『智恵子抄』). なお「父と子」の対立の問題が自伝執筆と密接に関係する例としてほかに英国人Edmund Gosse, 日本の志賀直哉などの場合があげられる. 次に幼児期における母親との関係によって対他人の態度が強く決定された具体例としてラフカディオ.ハーン(小泉八雲)の場合が確認された. 母子密着のギリシャ時代に決定されたハーンにおける「甘えの構造」が日本にうまく適応し, ハーンの妻小泉節子はついにはハーンを夫よりも「大きくなった子供」として扱うことになる. なおハーンについての具体的な研究は土居健郎氏の「甘えの構造」をもっぱら日本的と見做す考え方に反省を求めるものとなっている. 甘えはマリヤ信仰の強い地域でも一般に認められるようである.
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