研究分担者 |
西沢 保 大阪市立大学, 経済学部, 講師 (10164550)
玉置 紀夫 慶応義塾大学, 商学部, 教授 (80051621)
熊谷 次郎 桃山学院大学, 経済学部, 教授 (30047972)
津田 内匠 一橋大学, 経済研究所, 教授 (50017654)
小林 昇 大東文化大学, 経済学部, 教授 (10062390)
杉原 四郎 甲南大学, 経済学部, 名誉教授 (60068020)
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研究概要 |
所定の研究計画に従い, 各自が分担領域とした主要思想家の著作の検討により, 研究史上の新平面の開拓につとめた. すなわち, 杉山はイギリス重商主義以降を対象としつつ, とりわけ19世紀前半の特異な思想家兼政治家たるベインズに着目した. 津田はフランス18世紀の経済誌にみられる自由貿易主義思想に焦点をあて, 自由重商主義派の諸雑誌と重農主義の機関誌2誌とが互に交流も対決もなきままに, 穀物通商の自由の主張において符合を示したことを解明した. 熊谷は19世紀後半のマンチェスター派の研究を進め, とくにファーラーとマレットを中心とする自由貿易論の流れを明かにすることに成功した. 玉置は明治期日本の銀行家群がその対外経済政策観で, その多くが自由貿易を選んでいることを明かにすることができた. 西沢は61年度にはマンチェスター派確立期におけるハーミンガム派の反マンチェスター派的国内市場重視論を, 62年度には降って「大不況」後の関税政策論にみられるような国内市場重視論を究明した. 小林は保護貿易あるいはより広く国家による経済規制の問題をスコットランドのステュアートとドイツのリストとの研究で追求した. なお61年度には研究分担者として参加した杉原四郎は62年度前半に病臥を余儀なくされ, 研究復帰に至るまでの数カ月間は研究離脱が続いた. 同様に坂部正治は62年に海外留学に出発したため, 参加者名からはずれた. 両年度をつうじて, 以上の作業のほか, 自由主義と保護主義が経済学導入期の明治年間における高等教育機関の教育をどう性格づけたかの点にも目をくばった. また小林の研究に一例をみるように, 経済思想の展開における国際交流の問題にも留意した. 以上, 個別的研究成果には一応見るべきものがあったが, 共同成果の実現が今後の課題となるであろう.
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