研究概要 |
1.本研究の目的は, 雇用保障と地域共同体再編の諸条件の解明である. そのさい本研究がとりわけ重要視したのは, 最近各地で見られる住民自身による雇用創出の試みである. このような問題視角から山口県光市の実態調査がなされ(昭和61年9月), その研究成果がつぎのように報告書にまとめられている. 序章 雇用保障と地域共同体の分析視角((1)雇用保障の概念とその意義, (2)地域共同体の分析視角とその変革の課題) 第1章 光市の経済構造と地域開発政策((1)光市における地域開発の展開, (2)光市の地域経済構造と労働市場, (3)戦後の地域開発政策と光市の開発) 第2章 光市における失業増大の諸要因((1)敗戦直後の生活困難, (2)「被差別部落」の存続, (3)人口高齢化の進展, (4)「新しい企業城下町」と雇用保障) 第3章 光市の失業・雇用対策((1)授産所, 職業補導所, 共同作業所の設置とその限界, (2)失業対策事業の成立とその縮小・廃止の方向, (3)高齢者就労事業の成立と限界) 第4章 光市の失業反対・雇用保障要求運動の展開((1)全日自労の失対運動と部落解放運動の合流, (2)全日自労の雇用保障要求運動と事業団運動, (3)光中高年事業団の成立とその運動, (4)光中高年事業団の現状, (5)就労者の労働と生活の実態, (6)光中高年事業団の発展の展望) 終章 雇用保障と地域共同体変革の展望((1)地域開発政策と雇用保障, (2)雇用保障と下からの「町づくり仕事おこし」運動) 2.本研究による新知見としては, 上記の諸点の解明, とりわけ光市の住民による雇用創出の試みが近年欧米諸国で発展している労働者協同組合運動と共通している点などの解明がある.
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