研究分担者 |
綱島 不二雄 山形大学, 農学部, 助教授 (70089803)
藤原 隆男 岩手大学, 教育学部, 教授 (50006011)
岩本 由輝 山形大学, 人文学部, 教授 (40006838)
酒井 惇一 東北大学, 農学部, 教授 (00005604)
河相 一成 東北大学, 農学研究所, 助教授 (60006012)
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研究概要 |
本研究は, 現在農業上の大きな課題となっている農民的小土地所有制の出発点となっている農地改革を, その細部において把握することによって, 小土地所有制の本質を明らかにし, 併せて研究上の空白となっていた宮城県の農地改革の実態を分析することを目的としていた. 2年間の研究においてはまだ完全に考察を終了したとはいえないが, 現在までの研究によって明らかにされた諸点は以下のとおりである. (1)農地改革の最大の柱と考えられる小作地の買収・売渡の基礎となる小作地の認定について, 正規の小作地権・貸借権・利用貸借権と認め難い複雑な関係があったこと, 並びにその認定基準がどのようなものであったかが明らかになった. (2)その際, 当該市町村における地主支配の状況及び市農地委員会の性格により認定基準が異なっていた. これを数量的に把握する目途が立った. (3)買収面積を決定する要素の一つである地主保有地面積の決定の仕方は, 各都道府県によって異なるが, 宮城県についてその算出方法および考え方が詳細に判明した. これをめぐる地主・小作の主張や市町村の対応が明らかとなった. (4)農民の耕作権は, 必ずしも法どおりに存在しているとは限らないが, その具体的表現である小作権解消の状況が, 異議申立て, 訴願・訴訟の記録から解明された. その複雑な状況が戦後の自作農的土地所有の本質を規定してきたのである. (5)未墾地解放, 農用付帯施設の解放, 農地交換分合といった農地改革時の特殊課題についても, 実務遂行のレベルまで降りて解明することとができたが, これは総体として農地改革の性格とその限界を示すものとして重要で問題であることが確認された.
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