研究分担者 |
森本 光生 上智大学, 理工学部, 教授 (80053677)
三輪 辰郎 筑波大学, 教育学系, 教授 (70030278)
寺田 文行 早稲田大学, 理学部, 教授 (30063324)
飯高 茂 学習院大学, 理学部, 教授 (20011588)
沢田 利夫 国立教育研究所, 教官 (40000062)
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研究概要 |
高度技術・情報化社会への変容を世界に先駆けて経験しつつある我が国に於て, 数学教育はいかにあるべきかを理念, 方策, カリキュラム編成などに亘って, 学理と教育現場の経験をふまえて解析し, 最適の策を提案することが当研究の目的である. 時あたかも教育課程の改善の時期に当り, 教育課程審議会ならびに指導要領作成協力者会議の審議や作業に当研究班の研究成果が反映され得る事情もあって, 研究班の志気は高揚し, 時代ならびに学問の動向を見定めた基本的検討と新指導要領完成までに解決すべき具体的な問題の解明がともに精力的に遂行された. 日本に於ける未来型の数学教育の枠組みである指導要領の作成に当たっては, 少なくとも高校数学に関する限り, 数学教育の目的が, 数学に関する精鋭部分の生徒に対しても, 数学を知的市民の素養として学ぶべきマジョリティの生徒に対しても, 数学的知性の涵養に置かれるべきことが確認された. その際, 数学的思考力の強化と数学的リテラシーの育成を双頭の目標とすべきである. この見地に立ってこそ, 数学教育の世界的な課題であるカリキュラムの諸項目の価値の見直し, 確立統計の位置付け, コンピュータとの取り組みなどの日本に於ける最適解が求められる. 新課程に於ける数学I, II, IIIおよび数学A, B, Cの各科目は, この目的意識を尊重し, かつ, コア・オプション型カリキュラムの長所を活かして編成されるべき事が同意された. 個別の話題についても, 例えば, 伝統的な扱いそのものを安直に再現することには懸念があるが, 数学的思考力の強化の材料として平面幾何および複素平面は有効であることが了承された. コンピュータとの取り組みも真剣に吟味され, 数学に於けるコンピュータの活用により, 数学的知性の錬磨とともにコンピュータ・リテラシーの必須の部分を育成することが可能であることが判った.
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