研究分担者 |
富田 憲二 広島大学, 理論物理学研究所, 助教授 (90034610)
佐藤 勝彦 東京大学, 理学部, 助教授 (00111914)
松田 卓也 京都大学, 工学部, 助教授 (20026206)
藤本 光昭 名古屋大学, 理学部, 教授 (70022580)
小平 桂一 東京大学, 東京天文台, 教授 (60012845)
中村 卓史 京都大学, 理学部, 助手 (80155837)
松本 敏雄 名古屋大学, 理学部, 助教授 (10111824)
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研究概要 |
1.宇宙初期の急速な膨張(インフレーション)及びその後に続く相転移の過程でつくられる密度ゆらぎの性質・スペクトル・分布について, 場の理論的方法で調べられた. 一般には, スケールフリーの断熱ゆらぎが卓越するが, 特別な条件下では等曲率ゆらぎも発生しうることが示された. ケージ不変な場の理論の一般的性質のみを用いて示されたこの結論は, 広い妥当性をもっていることになる. 2.暗黒物質も含め, 断熱ゆらぎ・等温ゆらぎの双方について, N体計算による密度ゆらぎの成長過程のシミュレーションが行われた. 軽い無衝突粒子であるニュートリノと冷たい無衝突粒子のアキシオンが共存する宇宙において, 小銀河・銀河・銀河集団・超銀河集団と大空洞という天体の階層の起源と分布をよく説明できることが明らかになった. 但し, 等曲率ゆらぎの場合でも, 時間と共に温度ゆらぎが生じてくるので, 無衝突粒子のゆらぎのスペクトルにも制限が加わることがわかった. 3.ゆらぎの成長過程で物質と輻射の相互作用のため, 宇宙黒体輻射のプランク分布からのズレや非等方性が生ずる. この大きさや広がりを求め, 電波から赤外線領域における宇宙黒体輻射の観測と比較することにより, ゆらぎの振幅やスケールへの制約, ゆらぎの空間分布の情報を得ることができた. 4.以上のような主テーマによって, 宇宙初期から現在に到る宇宙の進化と主な物理過程をたどることができた. さらに, (1)最近発見された巨大重力源の起源, (2)パーコレーション法による宇宙の大規模構造の定量化, (3)銀河集団の二体相関関数の計算, (4)宇宙黒体輻射の歪みと爆発説に基づく銀河形成論などが調べられた.
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