研究分担者 |
竹内 謙介 北海道大学, 理学部, 助教授 (00107450)
杉ノ原 伸夫 東京大学, 理学部, 助教授 (50090519)
安成 哲三 筑波大学, 地球科学系, 講師 (80115956)
住 明正 東京大学, 理学部, 助教授 (10179294)
松野 太郎 東京大学, 理学部, 教授 (40037172)
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研究概要 |
1.海洋研究グループは三次元の太平洋モデルを完成し, 鉛直粘性や拡散の効果によって赤道潜流等の構造が著しく変化することやリチャードソン数依存性を考慮した混合層モデルにより西太平洋の厚い等温層を再現しうることを明らかにした. 実際の風を用いて熱帯太平洋の変動のシュミレーションを行った結果, ENSOの前年に西太平洋に蓄積した暖水がENSO年の初期にケルビン波として東進し, 中央部太平洋に於ける海面水温を上昇させることが明らかになった. 更に, ENSO年前の西太平洋に於ける暖水の蓄積が中部及び西太平洋上にあらわれる東風のアノマリーによることもわかった. 2.気象研究グループは全球に分布する気象及び海水温のデータを用いて, ENSOの全球構造を明らかにした. 特に, インド洋上に出現する地上気圧と大気循環のアノマリーは東部太平洋へ伝播するが, ユーラシア大陸の積雪分布のアノマリーが先駆現象として現われる. このアノマリーはインドモンスーンの準2年振動に対応し, 海洋グループの指摘する西太平洋の海面水温変動と密接な関連がある. モデルグループは大気大循環モデルを用いて, 世界に先駆けて季節内変動を再現し, そのメカニズムを調べた. ENSOとの関連等で季節内変動の研究は現在国際的に最も活発な一分野を形成するに至っている. 3.相互作用研究グループは熱帯域の大気海洋相互作用のありうる形態を3通りに分類し, ENSOを引き起こすと考えられる不安定の機構を明らかにした. 特に導出した不安定の必要条件は簡明なもので広く利用されている. さらに新しく開発した大気海洋結合モデルを用いて, 1982/83年, 1986/87年のENSO現象を外力をいっさい用いないで自動的に再現することに成功した. この成功はより完全な大気海洋結合モデルを作製する際に指導原理を与えることになる.
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