研究分担者 |
今津 隼馬 東京商船大学, 助教授 (00016958)
小瀬 邦治 広島大学, 工学部, 教授 (40034409)
貴島 勝郎 九州大学, 工学部, 教授 (90038042)
浜本 剛実 大阪大学, 工学部, 教授 (30107130)
藤野 正隆 東京大学, 工学部, 教授 (10010787)
長谷川 和彦 大阪大学, 工学部, 助教授 (60106804)
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研究概要 |
本研究では, (1)操縦性運動モデル, (2)港内航行制御, (3)港内操船の安全評価法という観点から, 港内操船の安全性の問題を総合的にとらえようとした. 操縦性運動モデルの研究では, 主に低速, 浅水域での操縦性向上を目的とし, 同モデルのパラメタの, 深水時から浅水時への変化に焦点をあて, 実用的なモデルを求めた. また近接物体の影響, 過渡状態における操縦性についても新しく理論的・実験的研究を行い, 今後の研究の方向についての示唆を得た. 更に, 本研究で初めて本船と曵船を同時に取り扱う流体力学的研究を行い, 曵船による操船支援が従来の常識よりはるかに高速域まで可能であることが明らかとなった. 港内航行制御については, スタンドアロンの衝突回避システムと航行管制について研究した. エキスパートシステムによって開発された衝突回避のアルゴリズムは, 今津問題と呼ばれる衝突回避の困難な状況では, 経験者より優れた判断を行う程の高性能を誇る. そしてそれを自動航法あるいは計算機支援航法の中に導入し, 更に相互通信のチャンネルを確保できれば, 従来輻輳水域の交通を一元的に管理しようとするものであった航行制御を, 知識分散型の海上交通管理システムに構成できることがわかった. 安全評価の面では, 第1に船の操縦性と実際の海難との関係を検討した. 第2に港へのアプローチ状態における操船方法を要素操船の形で整理し, その結果を操船シミュレータを使った評価実験に適用することによって, 分析的な安全評価のための方法論を得た. 今後も, 港内操船の安全性の問題については, 以上のような操船論, 制御論, システム分析等の広い視野からの検討が必要であり, 相互理解を深めながら各自の分担に取り組むことは意義深いものと考えられよう.
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