研究分担者 |
浅枝 隆 東京大学, 工学部, 助教授 (40134332)
大橋 正和 中央大学, 理工学部, 専任講師 (90160598)
大成 博文 徳山工業高等専門学校, 土木建築工学科, 助教授 (30045041)
小松 利光 九州大学, 工学部, 助教授 (50091343)
祢津 家久 京都大学, 工学部, 助教授 (30109029)
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研究概要 |
乱流における組織構造に関する歴史は未だ浅く, 水工学分野への適用も一部に限られてきた. 水工学分野における共通の理解を深め, また本質を理解するために, 最初に乱流における組織構造とは何かについて論議を深め, 定義を定めた. 研究の範囲としては, 乱流の二大分枝である壁面乱流と自由乱流とを共に含むものとした. 開水路内層, 外層, 段落ち剥離流, 河道内組織渦, 混合層乱流における組織渦を取り上げ, 水工学に関する広い範囲を網羅した. 可視化と流速計測の同時併用により, 内層の組織構造のさまざまな特徴を得た. 壁縦渦の流れ方向平均維持時間T+は92である. VITA法による最適パラメータは, 組織構造の可視化形象と流速波形の相互関係より, T+=13, K=0.8が得られた. また, 壁縦渦の概念モデルが得られた. 外層およびその境界付近では, ロータリースペクトルから流速変化が逆推定された. 粒子の軌跡からフラクタル特性, 速度の時系列資料からフラクタル次元が算出され, 壁面からの距離による組織構造の特性が得られた. 段落ち下流部での壁面圧力の流下方向分布は, 風洞での前縁剥離流と同じに, 再付着点付近で最大となる. 圧力スペクトルには組織渦の存在を示すピーク部が現われる. 再付着点付近の組織構造の周期は, 河川で観測されるポイルの発生周期とほぼ一致している. 半球背後の剥離渦については, アーチ状の渦の発生周期, 剥離泡から放出される渦の周期とレイノルズ数との関係が得られた. 河道の下り斜面を流下する渦については, 速度分布と渦動粘性係数の最適モデルが得られた. 混合せん断流においては, 時・空間測定により回転渦形が同定された. 下層水が連行される角度は29°であることが判明し, レイノルズ応力の分布特性に与える回転渦の役割も明らかとなった.
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