研究分担者 |
平井 幸弘 愛媛大学, 教育学部, 講師 (30181134)
海津 正倫 名古屋大学, 文学部, 助教授 (50127883)
大森 博雄 東京大学, 理学部, 助教授 (60092160)
遠藤 邦彦 日本大学, 文理学部, 助教授 (70059781)
森山 昭雄 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (60024006)
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研究概要 |
本研究は沖積層, 沖積平野の形成と気候環境との関係を追求したが, 前提として河川縦断面形との関連を検討した大森は, 指数関数形河川では三角州の, 一次関数形河川では扇状地の面積割合が大きいことを示した. 扇状地礫層の形成期(中央値)を約20,000年前, 約9,000年前, 約3,000年前に求めた斉藤は, 低温期と関連づけ, 遠藤らも関東平野のBG層・HBG層は低温・低海水準期の形成としたが, それらは北海道の泥炭層の花粉分析から得た五十嵐の気候史と調和している. 低温期と砂礫堆積期との関係は, 谷川連峰北麓の岩屑堆積地形の形成期を調べた鈴木の成果, また高山帯の周氷河性斜面堆積物の風化皮膜の測定から最終氷期最盛期とネオグラシエーション期に大量の岩屑生産があったとする小泉らの結論とも調和する. かかる時期を除く完新世には, 東北地方の内陸盆地でも扇状地の発達は緩慢であった(阿子島). なお, BG層の判定には慎重を要することを, 松本は仙台平野の場合から指摘した. 海津は濃尾平野の沖積層上部砂層が海進最盛期のあと縄文後期に至る時期に急速に拡大したことを珪藻分析から実証し, 磯も海進時の海成層をおおって上部砂層(箱崎砂層)が堆積し, 福岡平野を形成したことを示したが, それは縄文海進後の低温化と無関係ではなかろう. 森山は沖積中部泥層から上部砂層への移行が急速であったことを, 濃尾平野における垂直的な粒径組成変化から判定した. 気候変化とは別に, 平井は大規模な火山灰降下直後に, 短期的洪水現象による粗粒物の推積があったことを確かめた. なお奥村は, X線マイクロアナライザーを用いて示標テフラの主成分組成カタログを作成し, 火山灰編年の精度を高めた. 上述の沖積層層序と気候との関係は, 九州以東の日本列島では一般性をもつが, 河名は亜熱帯的な琉球列島では不鮮明であるとした. しかし木庭は更新世中期には琉球列島でも大礫の堆積をみる環境のあったことを指摘している.
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