研究分担者 |
藤村 勇一 東北大学, 理学部・化学科, 助教授 (90004473)
塚田 捷 東京大学, 理学部・物理学科, 助教授 (90011650)
加藤 重樹 東京大学, 教養学部・化学科, 助教授 (20113425)
大峰 巖 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助教授 (60146719)
岩田 末廣 慶応義塾大学, 理工学部・化学科, 教授 (20087505)
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研究概要 |
2年間における研究成果の概略を述べる. 1.気相における素反応過程, 電子励起状態の関与する動的諸過程の研究. 最も基本的問題である三体散乱理論における断面積概念や発散の困難等の問題が究明され新しい知見が得られた(市村). 反応動力学の研究においては, 錯体の光化学反応性の研究(青野), 原子移行反応の近似量子論的取扱い法の開発と応用(中村)が進められた. また, 反応における動向依存性等の解明が2量体の光解離実験で可能となった(梶本). 分子の電子励起状態に関する研究も活発に行われた. ベンゼンのS1S0状態の計算及び無輻射過程の機構の解明と反応速度の評価(加藤), 振動子強度分布計算用の新数値解法の開発や2次元シュレーディンガー方程式の数値解法プログラムの作成と応用(岩田), 分子のリュードベリ励起状態のシュタルク効果の量子欠損理論に基づく定式化(崎本), 分子の超励起状態の計算とそれが関与する動的諸過程(解離性再結合, 結合性イオン化, 多光子イオン化過程など)の量子欠損理論による解明(島村, 高木, 中村)などの成果があげられた. 更に, 共鳴多光子遷移過程の密度行列による定式化とそれによる時間分解イオン化確率の計算も進められた(藤村). 2.分子集合体における動力学過程の研究. 媒体中における緩和過程, クラスターや固体表面における動的諸問題の究明が行われた. 前者には, 正ミュオンの緩和過程の経路積分法による定式化(北原), 光励起エチレン分子のAr及び水溶媒中におけるエネルギー緩和過程と水の動的ゆらぎの分子動力学的手法による研究(大峰)等がある. 水中における緩和の特異性が見出された. 更に, 一般化マスター方程式の導出, クラスターの電子付着と蒸発, 光刺激電界脱離過程や電子交換を伴う表面散乱過程の定式化等々(塚田)の成果もあがった.
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