研究分担者 |
鮫島 正浩 東京大学, 農学部, 助手 (30162530)
寺沢 実 (寺澤 實) 北海道大学, 助教授 (50003124)
福田 忠徳 名古屋大学, 農学部, 助手 (10023441)
黒田 宏之 京都大学, 木材研究所, 助手 (00115841)
角谷 和男 京都大学, 木材研究所, 教授 (30027156)
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研究概要 |
フェノール生産細胞の選別(1)ユーカリについては, 細胞を有毒なPFPを含む培地で育てフェノール含量が通常の細胞の2-3倍の物をえた. 細胞はこの性質を継代10代迄失なかった. (2)エンジュについては同一植物体から形状, 色調を異にする多数の細胞小塊をえ, これらの増殖率, 形状の特性をコンピューターの画像解析により半定量的に評価した. フェノール物質生成の制御(1)タンニン生成 蔗糖濃度の増大はユーカリ懸濁培養細胞の生長を抑えるとともにフェノール含量(加水分解型タンニン)を増加せしめた. 蔗糖を非資化糖であるメリビオースにかえても同様に生長抑制, 含量増大が起きたことから, これらが糖濃度増大に伴う, 溶液浸透圧の増加に起因すると判断した. フェノール生成に関与する酵素, PALは細胞移植初期に生成し移植量の増加につれて減少したが, これは培地中蓄積した細胞よりの分泌物に起因すると推定した. PAL活性は2, 4D, カイネチンのかけた培地で強く, アフィヂコリンによるDNA合成阻害とも係わっていた. 縮合型タンニン(フラバノール)生成は培養後期に限られ, 加水分解型タンニン生産が移植後初期でピークとなるのとは傾向を異にした. 又蔗糖の影響についても両者は異なった. (2)リグニン生成 ハリエンジュの懸濁培養細胞の生長曲線には3個の極大ピーク(15日, 20日及び40日)が現われた. リグニンの生産量は生長曲線のピークより数日遅れて極大を示したが, PAL活性の発現は生長曲線に準じていた. なお植物ホルモンの濃度が変わるとリグニンの生産量も変化した. (3)低分子フェノールエンジュの培養株について最適な条件を選びだし, それらと植物ホルモンの種類との関連を示した. カルスの全フェノール生産量はMS培地では無機塩, 高NAAレベルの影響を受けての1割強増加した. (4)フェノール配糖体 シラカンバ, ポプラのカルスにいてフェノール配糖体の存在を示唆するデータが得られた.
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