研究分担者 |
斉藤 常正 山形大学, 理学部, 教授 (90111335)
小沢 幸重 日本歯科大学, 松戸歯学部・解剖, 助教授 (80014132)
亀井 節夫 京都大学, 理学部, 教授 (60025228)
大塚 裕之 鹿児島大学, 理学部, 助教授 (50041223)
上野 輝彌 国立科学博物館, 古生物第3研, 室長 (50060801)
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研究概要 |
日本における海生哺乳類化石は鯨類・鰭脚類・海牛類・束柱類など多彩である. 産出の時代は漸新世以降の各時代にほとんどがみられる. 鯨類と束柱類はとくに世界的なものがみられる. 漸新世・中新世・鮮新世の各時代には特性がみられ, 生層序を確立できる. 地域的には北海道と北九州に漸新世のものが, 北海道・関東・中京・中国地方に中新世のものが, そして東北地方に鮮新世のものが多い. 大型脊推動物では分離して断片的となり, 分類上の位置が快定できないものが多いが, 今後急速に作業が進むものと期待できる. 本研究では国内の多くの材料について, その層序的な背景はほゞ全様が判明できた. まだ, こゝに報告できていないものもあるが, アジア地域ではもっとも豊富な材料で, その成果は, とくに太平洋地域での海生哺乳類の古生態進化系統などを論じるに際して重要な位置を占めることになるであろう. 分類群によって, その内容に精粗はあるが, JAFOVデーターシートに入力され, 将来広く活用できるであろう. 誠に国立科学博物館の保管標本について登録済みのものが公表された. 形態と機能の関係を考察する上で歯の微細構造の研究は興味深い結果を示しているようである. とくに北海道のBehemotopsは束柱目の進化における特質を解明する上で極めて重要である. 瑞浪地方にみられる海生哺乳類群集と陸生哺乳類群集の対比は今後生層序を確立する上で役立つ. また, 名恍層にみられるような鯨類群集の遺骸は古生態学上益する所が大きい. 海生哺乳類と徴化石による生層率的検討は今後さらに検討すべき事柄があるが, 方法論的には良い結果が期待できることが判った. 魚類・爬虫類などの遺骸群集との対比を合せて行なうことにより, 広範な古生態・古環境について検討できるようになってきた.
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