研究分担者 |
木下 俊郎 北海道大学, 農学部, 教授 (10001421)
荻原 保成 横浜市立大学, 木原生物学研究所, 助手 (40185533)
藪野 友三郎 (薮野 友三郎) 大阪府立大学, 農学部, 教授 (50081485)
平井 篤志 名古屋大学, 農学部, 助教授 (60023470)
山口 彦之 東京大学, 農学部, 教授 (40011829)
藤井 太朗 国立遺伝学研究所, 遺伝実験生物保存研究センター, 助教授 (90000249)
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研究概要 |
本総合研究はイネ, コムギ, テンサイの3作物に材料を限定し, これら作物とその近縁種にみられる細胞質の遺伝的変異を分子レベルで明らかにするとともに, これを育種的に利用するため7項目の研究を実施したものである. 項目別の成果の概要は次のとおりである. イ.オルガネラDNAの制限酵素分析と物理地図の作成:葉緑体DNAについては, 日本稲, パンコムギ, テンサイにおいて詳細な物理地図を作成した. イネ属, コムギ・エギロプス属, テンサイ属の多くの種・系統を用いて制限酵素分析を行い, 葉緑体ゲノムの系統樹を作成した. ミトコンドリアDNAについては, 制限酵素分析をコムギ・エギロプス属及びテンサイ属を用いて行った. 2.オルガネラDNAライブラリーの作成:栽培イネとパンコムギの葉緑体DNAライブラリーを完成した. パンコムギのミトコンドリアDNAライブラリーは約70%できた. 3.ミトコンドリアの小環状DNAの研究:イネのB-1, B-2をクローン化し, 前者については部分的, 後者については全体の塩基配列を決定した. テンサイではこの型の分子を8種同定した. 4.葉緑体遺伝子の解析:栽培イネ, パンコムギ, テンサイのすべてについて, 10〜18個の葉緑体遺伝子の物理地図上の位置を決定した. また, イネのrbcL, atpβ, atpε, 及びパンコムギとエギロプス3種のrbcL遺伝子の全構造を決定した. 5.ミトコンドリアDNAのars領域の単離・同定・ars活性をもつとみなされることができた. 6.異種細胞質の栽培種への導入とその影響の解析:イネ属ではO sativaの細胞質を導入してO glaberrimaの雄性不稔系統及び稔性回復系統を育成した. テンサイでは3型の新雄性不稔細胞質を同定した. 7.細胞質変異の育種的利用:パンコムギでS^v型細胞質を利用した雑種を試作し, 従来の一代雑種に勝ることを証明した.
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