研究分担者 |
岩井 吉彌 京都大学, 農学部, 助教授 (40093190)
深尾 清造 九州大学, 農学部, 助教授 (60026391)
有木 純善 信州大学, 農学部, 教授 (20026389)
赤井 英夫 鹿児島大学, 農学部, 教授 (90041665)
森田 学 京都大学, 農学部, 教授 (10026388)
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研究概要 |
わが国では明治以降, とりわけ第二次大戦後, 人工造林が急速にすすみ, 今や人工林率40%という, 世界にも類をみない森林資源が造成された. 現在世界的に問題となっている. 森林資源の減少という視点からみれば, この事実は世界の驚異の的である. こうしたわが国の森林資源造成の要因として, 一つには林業政策によるところが大きい. 本研究では, まずこのような森林資源の造成に果した林業政策の役割について, とくに戦後過程に重点をおいて理論的に分析した. 戦後, 林業政策は森林の資源政策から構造政策へと大きく転換したが, しかし産業構造の急激な高度化の中で, 林業生産はしだいに採算を悪化させ, 現在大きな矛盾に直面している. 産業としての林業が自立して展開することが困難となっている現実, 他方では森林や緑に対する希求といった現実に対して, わが国の林業政策は, いかに両者の調和をとりながら現実に対応していくかが問われる段階に至っている. 従って本研究ではこのような矛盾が生じるに至った要因がどこにあるのかを, 林業政策視点から理論的に分析することも試みた. 本研究の成果は, 外国の研究者や行政機関向けに英文翻訳して単行本として出版されたが, これによって現在世界的に問題提起されている, 「森林資源の維持に対して国家はいかなる役割を果すべきか「という課題に対して, わが国も自国の現状に照らして積極的に議論しうる段階に至ったと考えられる. さらに今後, 森林・林業と国家の役割についての国際間比較という, 新しい分野の研究へ進めるための一歩を踏み出した. これによって, 本研究の当初の目的はほぼ完全に達成された.
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