研究分担者 |
酒井 浄 九州大学, 薬学部, 教授 (90153840)
松居 隆 東京大学, 農学部, 助手 (90011981)
小瀧 裕一 尚絅女学院短大, 家政学科, 助教授 (30113278)
山森 邦夫 北里大学, 水産学部, 助教授 (80012029)
安本 健 (安元 健) 東北大学, 農学部, 教授 (20011885)
佐藤 英雄 東京大学, 農学部, 助手 (60011904)
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研究概要 |
昭和61・62年度の研究成果の概要を以下にまとめる. フグ毒(テトロドトキシン, TTX), anhydro TTX産生菌としてVibrio科19株(内V.alginolyticus6株), Alteromonas属8株(新種A.alga sp., A.tetrodonas sp.を含む)およびSewanella putrefaciens sp.を分離した. しかし, 人工培地で培養したこれらの菌株はいずれもTTX産生能低く, 長時間の保存でTTX産生能が激減するため, 現状ではこれらの菌株を用いてのTTX生合成経路の追求ならびにフグの毒化機構の解明は至難と考えられる. ついで, TTX誘導体C4-SEtの合成を行なうとともに, TTXをアルカリ処理して得たC9-baseをトリメチル体とした後GC-MSを用いて分析する方法を開発した. 該方法は尿および血漿中のTTXの検出に有効である. 一方, TTXの代謝および生合成経路はTTXの各同族体の化学構造相互から推察が可能と考え, クサフグから6-epi TTX, 11-deoxy TTXを, イモリからはさらにanhydro 6-epi TTX, 11-deoxy-4-epi TTX, anhydro-11-deoxy TTXを発見した. ところで, クサフグにTTX・anhydro TTX混合物(1:4)を腹腔内投与したところ, 体内での相互変換は極めてわずかであり, TTXの来源としてのanhydro TTXの可能性は非常に少ない. 他方, 抗生物質を適量以上添加した海水中で有毒フグと無毒フグの混養を行ったところ, 依然として無毒フグの毒化が進み, 混養による毒化の原因がTTX産生菌である可能性は少ない. ついで, ニホンイモリにも毒性を発見したが, その毒性は有毒フグの肝臓以上であり, 個体差が大きく, 成長とともに毒性が増加する. 毒性の原因はTTXおにびその同族体の混合物と理解している. 他方, 養殖中の無毒のクサフグが自然産卵を行ない, その稚魚を飼育中である. この事実はクサフグ, ひいては有毒種のフグの産卵およびその後の成長にとって, TTXが必ずしも必要でないことを明らかにしている.
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