研究分担者 |
外崎 昭 山形大学, 医学部, 教授 (90004572)
高橋 國太郎 東京大学, 医学部, 教授 (10010034)
富田 忠雄 名古屋大学, 医学部, 教授 (50078763)
久場 健司 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (60080561)
赤池 紀生 九州大学, 医学部, 助教授 (30040182)
|
研究概要 |
イオンチャネルの開閉については, 従来主として膜電位依存性および伝達物質による制御の面から研究が進められて来たが, チャネル開閉機構が細胞内Ca^<2+>の影響を受けることが明らかにされ, 更にATPおよびH^+の作用を受けることが明らかにされるに到って, チャネルの機能と細胞の代謝状態との関係を解明する途が開けた. 本研究では, 胚細胞から神経細胞にいたる種々の細胞についてチャネルの性質を詳しく調べる一方, 実験方法の開発も行われ, 数々の新知見が得られた. 研究進行の過程において研究会を2度開催し, 班員間の情報交換の場とすると共に, この分野に関心を持つ研究者にも広く参加を呼びかけ, 研究者層の拡大をも図った. この研究において得られた主な知見および実験方法は次の通りである. 単離した心筋細胞の中央部にオイル間隙を作り、細胞の一部を切断して細胞内潅流を行うと共に、膜電位固定をも行う方法を確立した。この方法によって細胞内液の組成を迅速に変えることが可能となったので、今後の発展が期待される。Ca依存性Kチャネルについては、Fura2の蛍光を指標として細胞内Ca^<2+>濃度を測定する方法をパッチクランプ法と併用することにより精細な研究が進められ、Ca依存性Kチャネルが3種類に分類されうることが明らかにされた。細胞内Ca^<2+>濃度とCl電流との関係についても注目すべき結果が得られた。即ち、イカ巨大神経線維において細胞内Ca^<2+>濃度を10^<-10>M程度まで下げると、Cl^-透過性が増大し、カエル後根神経節ニュ-ロンではGABAによって誘発されるCl^-電流が細胞内Ca^2+D1濃度の上昇によって抑制されることが見出された。また、マウス膵島β細胞では、細胞内Ca^2+濃度低下の際に見られる脱分極時には主としてCl^-が内向き電流を運んでいることが明らかとなった。神経系の分化・増殖の面でも、胚植物半球前方割球がNaチャネルを誘導することが証明された。
|