研究分担者 |
谷口 昂 金沢大学, 医学部, 教授 (10019888)
小林 登 国立小児医療研究センター, 病院長 (50009916)
鴨下 重彦 東京大学, 医学部, 教授 (60048973)
三河 春樹 京都大学, 医学部, 教授 (00026866)
矢田 純一 東京医科大学, 医学部, 教授 (60057502)
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研究概要 |
生体の防御機構の重要な部分を占める免疫応答は, MφやT細胞, B細胞さらにそれらのサブセットなど多様な細胞集団間の相互作用により成り立っている. このような細胞間相互作用の発達と, T及びB細胞各集団の成熟分化を誘導する諸因子のそれぞれが周産期から小児期へかけて生理的な調整を完成する過程を把握することを目的として, 2年間に亘り小児科関連の10施設で相互の連絡の下に, 主として4系統の研究が行われた. 第1は, B cellの分化過程に関するもので, IgM型の抗原特異的一次抗体反応は臍帯血リンパ球には全く認められず, 且つIL-1, 2の添加によっても1才以降のものとは異り, 反応の亢進が得られないこと(松本), またSCID患者骨髄からえたEBV形質転換細胞は, B前駆細胞の形質を示すにも拘わらず, DNAレベルではIg重鎖遺伝子再編成が殆ど認められず胎児型のままであること(鳥居)などの結果が得られた. 第2はT cellの分化に関係したもので, 胸腺内の各種間質細胞群のそれぞれとT細胞分化増殖との関係, 胸腺間質細胞由来趨化因子がprogenitor T cellに及ぼす効果とT細胞分化におけるその役割につき幾つかの貴重な結果が得られた. さらにT cellレセプター遺伝子を用いた研究では, そのα・β両鎖の再構成はともに胸腺内で生じ, T3ε/δ蛋白の合成が最も未熟なearliest T細胞でおこることが明らかにされた. 第3の知見はキラーリンパ球各型の発現機構に関するもので, LCLに対するkiller細胞はOKT8陽性が主体であるが, autoLCL刺激によるキラー活性の誘導には, OKT4細胞の存在が必須であること, また新生児では標的細胞障害過程における結合, 溶解の機能低下は明らかであるが, リサイクリングの低下は認められないことが知られた. そのほか第4の問題として, 白血球粘着膜蛋白の発達のように, 特殊な免疫不全に関連した領域でも, 二, 三の新しい研究成果を得ることができた.
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