研究分担者 |
佐藤 登志郎 北里大学, 医学部, 教授 (60050366)
鎌田 武信 大阪大学, 医学部, 教授 (80028399)
開原 成允 東京大学, 医学部, 教授 (80084515)
岡島 光治 藤田学園保健衛生大学, 医学部, 教授
飯尾 正宏 東京大学, 医学部, 教授 (80143486)
OKAJIMA Mitsuharu Fujita-Gakuen Health University, School of Medicine
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研究概要 |
医師の頭脳が行なっている診断過程を定式化して記述し, 定式の構造を操作して診断の精度を上げる試みは, ようやく緒についたばかりで, 研究の進展に対する期待は大きい. 本研究は, 診断過程の研究にあたり全体観を確立するための視座を探ることを目標として, いわゆる計量診断に関心を持つスペシャリストを挙り, 近年注目を集めている2つのアプローチを候補として, 様々な調査と経験の分析を行なった. 2つの主要なアプローチとは, 知識工学的接近と, 逆問題概念である. その結果, いずれの研究も, 目標は医師を凌ぐ予測能力を科学的に開発することであるが, この目標は標的を限定した場合にほヾ達成されている. 知識工学的接近では, 臨床診断陽のエキスパートシステムの多くは, 医師と同等以上の判断能力を有し, 一部のものはすでに実用水準に達していると考えられた. 逆問題解法は, すでに各種のCT(コンピュータ断層法)の基礎理論として, 有効性が確かめられており, さらに生体内の電場や音響場の逆問題解が, 体表面心電位分布図からの心電源推定や, 超音波伝達特性からの人体内部諸器官の物性的特徴量の推定などに応用され始めている. しかしこれらのいずれも, 単独では診断学の拠って立つパラダイムとしてなお不完全である. 現時点での最良の戦略は, 古典的統計論, 多変量解析モデル, シミュレーション, 意志決定樹などと, あらゆる手法を動員することが必要である. この際, 人工知能を診断システム全体の統括に充てれば, 人間・機械系それぞれの能力を結び最大限に発揮させることも可能と考えられる. また一つの戦略目標として, 診断画像の情報処理に何らかの有効な寄与を発見することが, 診断学研究に対する支持を強化するのに望ましいプロジェクトであり, そこにも人工知能ないし知識ベースによる帰納的推論の応用に期待されるとの結論に達した.
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