研究課題/領域番号 |
61410009
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研究種目 |
一般研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
考古学
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研究機関 | 国立歴史民俗博物館 |
研究代表者 |
吉岡 康暢 国立歴史民俗博物館, 考古研究部, 教授 (60183696)
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研究分担者 |
田中 照久 福井県陶芸館, 学芸員
水野 九右衛門 水野吉陶磁館, 館長
小野 正敏 国立歴史民俗博物館, 孝古研究部, 助教授 (00185646)
MIZUNO Kuemon Mizuno Ancient Ceramic Museum
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研究期間 (年度) |
1986 – 1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
11,000千円 (直接経費: 11,000千円)
1988年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1987年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
1986年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
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キーワード | 東日本 / 福井県 / 中世窯業 / 越前窯(焼) / 16世紀〜17世紀 / 陶磁器生産 / 操業単位 / 越前焼 / 窯跡群の発掘調査 / 操業単位空間 / 越前窯 |
研究概要 |
本課題は、歴史考古学の主体的方法による新たな中世産業史像の提示が期待される、中〜近世への移行にかかる窯業生産の実態究明を目的として設定された。昭和61・62年度は、福井県織田町平等通称岳ノ谷窯跡群の発掘調査、及び分布調査と地形測量図の作成を実施した。昭和63年度は、出土遺物の窯別・床面別の整理・集計・他地域中世陶器窯の実査を行い、越前窯の技術・生産的特質を検討するとともに、調査成果の考古・理科学的総括を行った。 次に、本研究によって明らかにされた諸点を概括する。1 窯構造:全長26m以上、床面最大幅5.5m、匂配約38度を測り、狭長な焚口を付設する燃焼部が広舌状を呈し、焼成部がほぼ直線的にのびる地下式の大型窖窯(岳ノ谷1号窯)。分焔柱と燃焼部は耐火度の高い岩倉石を使用し、前面の作業場・灰原は1,000m^2以上の拡がりと、厚さ4〜6mに及ぶ陶片の堆積がみられるなど、量産と熱効率の大改良がなされている。2 群構造:岳ノ谷小群は5基が近接して継起的に築造され、1時期1基の操業とみられる。16〜17世紀中葉頃の窯跡は6〜7小群約50基を数え、全て平等地区に集中する。3 生産体制:大規模な地形の改変地業によって造成された、窯場=窯体・作業場・灰原が一体的に調査され、生産ユニットが把握できた意義は大きい。このように、窯場が大規模化かつ固定化し、組織的に管理される生産体制は朝倉氏一乗谷城下町の創営(15世紀末葉)まで遡る蓋然性が高く、かかる生産機構(工人組織)の転換に近世窯業の起点が求められよう。4 出土遺物:従来不分明であった該期の越前陶器の編年軸の確立。上記によって、16世紀前半代に北陸・北海道日本海域において、越前陶器が珠洲陶器を駆遂し一元的商圏を確行しえた、中世末期の技術革新の実像に実証的展望がえられた。
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