研究分担者 |
後 房雄 名古屋大学, 法学部, 助教授 (20151855)
川崎 信文 広島大学, 法学部, 助教授 (60152948)
磯部 隆 名古屋大学, 法学部, 教授 (20092992)
佐々木 雄太 名古屋大学, 法学部, 教授 (20040793)
戒能 通厚 名古屋大学, 法学部, 教授 (00013011)
|
研究概要 |
(1)61,62の両年度にわたって, 1970年代から80年代にかけての先進資本主義諸国に共通してみられた顕著な政治的社会的変動に関して, 比較分析の形で共同研究を行った. (2)第一の研究成果としては, 1950年代から60年代にかけての高度経済成長時代の各国の国家のあり方(機能, 構造, 統合イデオロギーなど)に関しての比較研究を通じて, いわゆるケインズ主義的福祉国家としての共通点と各国の特殊性とを明らかにしえたことが挙げられる. (3)第二の成果は, 各国におけるケインズ主義的福祉国家が70年代に入って深刻な危機に陥っていく背景や原因と, その危機の内容・性格とについて, これも各国毎の特殊性を重視しながら共通点を引き出す形で明らかにしたことである. ただ, 危機の発生メカニズムの共通の重要な背景となった国際秩序の変動を必ずしも十分に研究の中に取り込めなっかた点は今後の課題だ. (4)第三の成果は, 危機に対応してし各国において行われた国家再編成について, 機構=制度, 政策, 理念=イデオロギーなどの諸側面から総合的に明らかにしたことである. そして, こうした危機と再編成の過程を通じて各資本主義国家の国家形態レベルでの変化が進行していることが結論された. 新たな国家形態を規定する概念は未だ十分に用意しえていないが, 新保守主義政権によって経済成長国家に代わる新たな国家形態が形成されつつあるのは明らかである. このことは, 資本主義国家の変革を目ざす左翼勢力の側の戦略もまた, 従来のような一国的な福祉国家を目ざすものとしては既に有効性を失いつつあることからも確認しうる. (5)最後に, 危機や再編成の内容における日本の顕著な特殊性と, 国際的な変動において日本の占める位置の重要性が改めて確認された.
|