研究課題/領域番号 |
61410019
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研究種目 |
一般研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
美学
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研究機関 | 東京芸術大学 |
研究代表者 |
坂本 一道 東京藝術大学, 美術学部, 教授 (50107330)
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研究分担者 |
福田 徳樹 東京藝術大学, 藝術資料館, 助手 (90015280)
宮田 順一 東京藝術大学, 美術学部, 非常勤講師
杉下 龍一郎 東京藝術大学, 美術学部, 教授 (40015227)
歌田 眞介 (歌田 真介) 東京藝術大学, 美術学部, 非常勤講師 (30272644)
佐藤 一郎 東京藝術大学, 美術学部, 助教授 (30143639)
MIYATA Jun'ichi Faculty of Fine Arts, Tokyo National University of Fine Arts and Music
稲葉 政満 東京藝術大学, 美術学部, 助手 (50135183)
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研究期間 (年度) |
1986 – 1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
8,000千円 (直接経費: 8,000千円)
1988年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1987年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1986年度: 4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
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キーワード | 明治期油画 / 油画技法 / 赤外線テレビ画像 / X線写真 / クロスセクション / 顔料分析 / 油画材料 |
研究概要 |
1.東京藝術大学藝術資料館収蔵の明治前半期油画作品のうち、重要文化財指定の3点(『花魁』、『鮭』、『収穫』)を含む37点について、以下の調査研究を実施した。(1).肉眼による作品の状態調査。(2).側光線、赤外線、紫外線蛍光、X線、手術用顕微鏡による光学調査。(3).採取試料のクロスセクションによる層構造の解明、およびX線マイクロアナライザー、微小部X線回折器による顔料の定性分析。(4).(1)〜(3)の試料に基づく材料、技法、保存、修復に関する考察。 2.作品別の主な知見。(1).高橋由一『司馬江漢像』。江漢自像との相関が明白となり、下層に若い別人物が描かれていることが確認された。(2).五姓田義松『伊太利人半身像』。三種の人物が描き重ねられていることと、それらの製作順序が判明した。(3).浅井忠『収穫』。当時の風俗写真を想起させる墨線が確認され、また『収穫』の下層に描かれた二見ケ浦日の出風景画の存在が確認された。(4).原田直次郎『エクステル像』。描き重ねられた複数の像が確認された。(5).高橋由一『花魁』、『鮭』。両作品の技法上の大きな隔りが明白となり、由一の作品展開を考察する上で興味深い。 3.総括的な成果。(1).地塗り層構造の解明、および顔料の定性分析から、19世紀後半から20世紀初頭に使用された地塗りの基本パターンが解明された。(2).調査の結果、とりわけ留学中の制作は、「明部は厚塗り、陰影部は薄塗り」という明暗表現の基本原則によって描き進められ、その堅牢な絵肌とともに油画技法の高度な習熟に達していることが科学的に実証された。 4.今後の研究の展開としては、本年度修復処置を施した3点の調査資料のまとめおよび現在調査中の24点について研究を継続し、合計61点に関する調査研究を集大成し、できれば研究成果公開促進費によって出版することを計画している。
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