研究分担者 |
鈴木 厚人 東京大学, 理学部, 助手 (00100818)
木舟 正 東京大学, 宇宙線研究所, 助教授 (40011621)
須田 英博 東京大学, 宇宙線研究所, 助教授 (30011555)
高橋 嘉右 高エネルギー物理学研, 物理系, 教授 (90004283)
小柴 昌俊 東海大学, 理学部, 教授 (00011461)
梶田 隆章 東京大学, 理学部, 助手
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研究概要 |
太陽ニュートリノは太陽中での熱核融合反応により必然的に発生するものであり, 太陽の熱放出がわかれば原理的に予言可能である. 1970年来続いているアメリカのDavis達の実験によれば, 観測された太陽ニュートリノのフラックスは予想値の4分の1に過ぎなかった. この太陽ニュートリノの問題は太陽モデルが悪いのか, または, ニュートリノの特性に問題があるので, 第2の実験が待たれていた. 我々には神岡にある陽子崩壊実験装置も改善し, 太陽ニュートリノの観測に入ることにした. 本科学研究費によりデータ収集用磁気テープ装置を増強し, データの取得を効率よく行えるようになった. また同時にイオン交換樹脂装置の設置により水の純度を向上させ, バックグラウニドを向上させることができた. データの解析も順調に行われ, 昭和62年9月までのデータの解析では太陽ニュートリノの信号は見えず, その上限値が理論的予言の半分以下という結論に達した. この結果は太陽ニュートリノ問題をDavisと異なるエネルギー範囲で独立に再確認した点で極めて意義のある結果と信じている. 今後せ引き続きデータの収集, 解析を行い, 有意な太陽ニュートリノの観測を行う予定である. また装置の改善が終了した時点の1987年2月23日, 我々は大マゼラン星雲中で起こった超新星SN198FAからのニュートリノを史上はでめて捕らえることに成功した. この観測は歴史に残る極めて重要な結果で, 本科学研究費による装置の改善によってはでめて成功しえた点を強調しておく.
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