研究概要 |
超低q領域に於けるMHD安定配位の形成及びプラズマ閉じ込め特性に関して実験, 理論の両面から総合的な研究を行い, ULQ平衡の物理的特徴を明らかにすると同時にその工学的利点を研究した. ULQ配位は超低q領域(q<1)に於いて, 一定の条件(10^3<S<^4)の下で自発的に形成される平衡配位である. ULQ平衡形成にq=一定の条件でプラズマ電流をRamp-upすることによりSを上昇すると同時に, 平坦な電流分布を保持して安定性を改善できることを示した. このRamp-upのシナリオはULQ装置の大型化にとって必須のものである. ULQ放電は比較的大きな動揺をプラズマ端部に持ち, プラズマ一壁相互作用がプラズマ特性に大きく影響する. 本研究ではカーボニゼーションによる水素リサイクリングの上昇がULQプラズマ特性を向上させることを示した. ULQに関する最も重要なテーマは局所モードの非線型挙動である. 本研究ではプラズマの放射エネルギー損失のバリヤーを超え, ULQ放電のSに関するパラメータ領域を広げ, この問題についての実験的検討を行った. MHD理論によって予測される局所モードの成長時間よりも充分長い時間ULQ配位が安定に保たれることが確認された. TORIUT-6は最も高い電流密度を持ち, 電流密度の上昇によってプラズマの抵抗率は単調に減少することを示した. このことは電流密度の上昇が, むしろプラズマの閉じ込め特性を改善することを示しており, ULQにおける最も低い抵抗率はTORIUT-6に於いて達成されている. 又, Ramp-up放電によりピッチを動的に変化させ, 安定性の改善を確認したことは, 局所モードに関するピッチの役割の理解が実験的にも理論的にも矛盾しないものになったことを示すと同時に, 更に高いS値の実験へと進む場合の基礎を与えるものであり, 本研究の目標は充分に達成された.
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