研究概要 |
1)B細胞分化因子B151-TRF2あるいはリポ多糖(LPS)による多クローン性B細胞分化過程に自己工領域遺伝子産物(Ia分子)の認識を介したB-B細胞間相互作用が介在している事が示された. 2)B細胞による自己Ia分子認識特異性は免疫グロブリンとは異なる分子により担われている事が示された. また最近リンパ系細胞間の結合に重要な役割を果たす事が明らかにされているL3T4或いはLFA-1分子とも異なる分子がB細胞の自己Ia認識分子として機能している事が明らかにされた. 3)H-heterozygousFIB細胞はそれぞれの親のB細胞から成るmonoloyerに対する結合性により, 各親Ia分子を認識する少なくても二つの亜集団に分画される事が明らかにされた. 4)B細胞の自己Ia認識特異性は, T細胞のそれとは異なりX線耐性の宿主の環境因子によっては決定されず, B細胞生成過程に共存するX線感受性の骨髄細胞のH-2ハプロタイプにより後天的に決定される(適応分化)事が, X線照射混合骨髄キメラマウスを用いた解析で明らかとなった. 更に骨髄細胞由来のB系細胞の工領域遺伝子型が自己Ia認識特異性に重要な役割を果たす事が示された. 5)B細胞は工領域遺伝子産物のうちI-A分子を自己として認識するが, I-E分子を認識するB細胞集団は存在しない事が明らかにされた. 6)X染色体に連鎖したB細胞機能不全を示すCBA/NマウスのB細胞は, 自己I-A^K分子認識受容体を欠損している事が示唆された. そこで欠損(CBA/N×B10.BR)F1雄マウスに正常(CBA/N×B10.BR)F1雌マウスの脾細胞を過免疫して得られた脾細胞をP3U1ミエローマと細胞融合して作製した単クローン性抗体3A8-3は自己I-A^K分子の認識を介したB-B細胞間相互作用を内在する多クローン性B細胞分化を特異適に阻害した.
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